はるか昔、この狗神さまの呪いにかかったとされる、在る、一族がいた。

この一族は、昭和のはじめの年代まで実際にいたのだが、その後、ぷっつりと血が絶えてしまった。

この真相とは、ある年、この家の若い夫婦が、夫の浮気が原因で離婚してしまい、妻が出ていったあとに若い愛人が正式に後妻としてこの家に迎えられた。が、悲劇は突然、訪れた。

まず二人の間にできた子供が、死産であり、その後、夫の両親が通り魔の犯行に遭って殺されてしまった。

残された親類の者達は、勝手に、狗神さまの呪いがかかったと決め付け、しまいには、この新妻、いけにえとしてさしだすことに決め、狗神の祭られている、山につれだした。

そこで一族は、身につけている物すべて脱ぎ捨て、生まれたままの姿になり、祈祷始め、狗神呼び出し、自らの体に憑依させた。

その後、岩にくくりつけられている新妻の身体によってたかってかぶりつき、肉に喰らいつき、血すすって、頭割り、中の脳髄すべてえぐりだし残らず、すすり、村の衆らが見つけたときには、もう新妻は、ほとんど骨になっていたと言う。

この猟奇殺人の現場に駆けつけた、警察官と急遽、雇われた地元の猟友会の面々は、その場でまだ人骨手にして、それにむしゃぶりついている一族たちに向かって発砲した。全員、即死した。

この歴史的にあまりにも凄惨極まる事件は、あまり詳しく、報道されず、そのほとんどが歴史の闇へと葬り去られた。

なお、数年前に、この事件が映画化されたことは、記憶にあたらしい。