デリーの鉄柱とはアショーカ王の柱の一つで、インド・デリー市郊外の世界遺産クトゥブ・ミナール内にある錆びない鉄柱のこと。

チャンドラヴァルマンの柱とも。

99.72%という高純度鉄で作られており、表面にはサンスクリット語の碑文が刻まれている。

直径は約44cm、高さは約7m、地下に埋もれている部分は約2m、重さは約10トン。

現在はデリー南部郊外メヘラウリー村のイスラム教礼拝所やその他の種類の歴史的建造物が集まったクトゥブ・コンプレックス(Qutb Complex)内にあり、インド有数の観光スポットになっている。

紀元415年に建てられたといわれる。

地上部分は1500年以上のあいだ錆が内部に進行していないが、地下部分では腐食が始まっている模様。

鉄柱が純度の高い鉄製だから錆びないという。

金属工学の専門家によれば、99.72%の純度ならば50年ほどで錆びるという。

1500年の間風雨に曝されながら錆びなかった理由は、鉄の純度の高さではなく不純物の存在にあるという仮説が有力である。

インドで産出される鉄鉱石にはリン(P)が比較的多く含まれている。

また、インドでは鉄を精製する際にリンを豊富に含んだ鉄を薄い円盤状にして加熱しながら叩くと、鉄の表面はリン酸化合物で覆われる。

その円盤を積み重ねてさらに叩いて一体化させれば、鉄柱の表面がリン酸化合物でコーティングされ、錆に強い鉄柱が完成するという。

また、

「この柱は地中深くに達し、地中を支配する蛇の王ヴァースキ(Vasuki)の首に刺さっている」

という伝承があり、かつては観光客たちがその不思議な力にあやかろうと柱を触ったり、

中には上までよじ登った者もいるという。

現地の人々は体に油を塗って太陽光線から肌を守る習慣があり、

その油が柱につくことによって錆を防いでいるのではないかという説もあるが、現在、柱の周りは柵で囲われているため、人が直接触れることは出来ない。