152 : 本当にあった怖い名無し[] 投稿日:2006/08/26(土) 16:15:53 ID:3GJ6OJlJ0 [1/2回(PC)]
高一の夏休みに、気分転換でもしようかなって田子の浦港に夜釣りにいったときの話です。 
昔から噂のある所で有名ですが、当時の僕は別に霊なんて怖くも無いし、いつもよく行くし、 
へっちゃらだって気持ちで一人で行って8時くらいから竿を出してたんです。 
周りには地元のおっちゃんたちも何人か釣って居て、対岸の伊豆半島が綺麗に見えたし 
空気もからっとしてて暑っ苦しくなく、星空もきらきら瞬いていて良い気分で普通に釣りをしてました。 
時間が経つのも忘れてぼんやり釣ってたら、何か闇が密度を増したみたいに感じて 
急に湿度が上がってムワっとした感じがしたんです。あれ?っと思って周りを見たら 
さっきまで居たおっちゃんたちが帰っちゃったみたいで、釣りをしてるのは僕一人っきりの状態。 
うわぁヤダなぁと思った瞬間、いきなり持っていた竿が誰かに引っ張られるみたいに引いたんです。 
普通の魚の場合、逃げようとして横に動いたり釣り糸に掛かるテンションが微妙に 
変化するんですが、この時は違って、まるで水中からものすごい力で誰かに引っ張られるような感じでした。 
なんか今までに無いおかしな感じがして、リールを巻く間も体から脂汗が出てくるしで 
焦って泣き出したい気持ちでした。それでも、ぐいぐい引っ張られる力に対抗して一生懸命巻いて 
ようやく釣りあげると、海面から出てきたのは丸くて真っ黒な物体でした。


153 : 本当にあった怖い名無し[] 投稿日:2006/08/26(土) 16:18:41 ID:3GJ6OJlJ0 [2/2回(PC)]
地面にどすんとそれを置くと、横に寝かせた人の頭のようで、長い髪の毛が束になってるように見えました。 
怖くて声を挙げそうになりながら見てみたら、水を含んでぬるぬるしたその髪の束が急に動き出したんで 
とうとうしゃっくりみたいな悲鳴を出してしまいました。 
ぺちゃぺちゃした音を立ててるんで意を決して近づいてよく見たら、何の事は無い、大きなタコでした。 
なんだあ、とほっとした気持ちで吸盤に吸い付かれるため釣れたタコをクーラーボックスに 
収めるのに苦戦していると、波打ち際の方からパチャパチャという音が聞こえてきました。 
波が打ち寄せる音とは明らかに違っていて人為的な感じがしました。 
最初はただの思い過ごしかと思って気にしないようにしてたんですが、 
だんだんその音が大きくなってきたんです。 
ちょうど人が腕を水面に叩きつけるような音です。 
バシャ!バシャ!バシャ!バシャ!バシャ!と怒りとか怨念とかを込めたような 
強烈な音になって、タコを仕舞いこんだ僕は竿とクーラーボックスを引っつかんで 
この場所から放れたい一心で一目散に走ってチャリンコに飛び乗ると 
家を目指して全力で疾走して帰りました。 
あれは結局何だったのか、でもあれから田子の浦港へは夜釣りには行ってません。