889 : 1/2[] 投稿日:2007/01/25(木) 06:06:03 ID:Slx+LXaK0 [1/3回(PC)]
実家が墓地の隣にあった。 
あたり一帯寺の敷地内だったし、生まれた時からだから気にもしてなかった。 

長所は、都会なのに日当たり良好、緑豊か、とっても静か、地上げ屋も最後まで手をつけない。 

欠点としては、障子やカーテンに卒塔婆や墓石のシルエットが映り部屋のでコーディネイトどころじゃない。 
彼岸時はいぶされるので家族全員避難する。遊びに来た友達が気味悪がる。 
で、やっぱ時々普通じゃないことがが起こる。 

月に1度くらいの割合納骨があったけど、葬式と違って腐るわけじゃないから、休日にやることが多かった。 
うるさいんだよね朝寝ができない、地面コンクリだし何十年も開けてない墓だと,業者がドリルまで使ってこじ開ける。 

で、納骨のあった晩は来ることが多かった、新しいお隣さんが挨拶に。 
突然窓をバンバン叩く音がするとか、猫が空中にむかってシャーシャー言うとかはよくあった、 
小窓から目だけが覗いたりするとかはマジ怖かった。 

「あ、新しい人が来たんだね」と、かーちゃんは嬉々として、仏壇に死んだじいちゃんばあちゃんの湯のみ 
の他に、見えない来客専用の湯飲みを置いて、お明かりと線香をつける。 


890 : 2/2[] 投稿日:2007/01/25(木) 06:08:45 ID:Slx+LXaK0 [2/3回(PC)]
手を合わせて「ようこそいらっしゃいました、何のお構いも出来ませんが、これからよろしくお願いします 
ここはいい所だし、ご住職さんも立派な方で、あーたらこーたら……」 

と、一方的に世間話をする、相手の反応があろうとなかろうと、家族の紹介から愚痴まで小一時間は続く… 
これで大抵の来客はすっかりなじむか、近寄らなくなる。 
ここまでだったら、怖いのはおれのかーちゃんだったって話なんだが、たまには凄いのも引越しして来る。 

大抵はかーちゃんが先に気づくんだが、こういうのは何故か俺のところに来る。 
動物霊連れで来るのがいるんだが、一番インパクトがあったのはでかい牛と一緒に来た霊だ。 
夜中に金縛りと同時に、白い牛が壁から染み出してきた。物凄く生臭い匂いがして、 
牛の目が表現できない怖さだった。少し体が動くようになったが、豆電球の明かりの中、牛はすっかり部屋に入っている。 
散らかった六畳間がいっぱいだった。で、牛の体の下、腹のところから50歳くらいのおじさんが生えてるのに気づいた瞬間 
絶叫した。したつもりだったが後から聞いたら、家族には聞こえていなかったそうだ。 
一緒に寝てたはずの猫もいない、見捨てられたらしい。 

知っている住職さんに貰った札と経を手に、とにかく恐怖に負けないって気迫だけで睨んでるうちに、 
壁に吸い込まれていった。もう4時過ぎになってた。 



891 : 追加[] 投稿日:2007/01/25(木) 06:11:19 ID:Slx+LXaK0 [3/3回(PC)]
すぐ、かーちゃんたたき起こして一緒にいてもらった。仏壇に向かってご先祖とご近所さんに助けてくれるように 
泣きながら頼んだ。トイレもかーちゃんと一緒に行った。高校生の男子としては情けなかったけど、 
トラウマにならなかったのが不思議なくらい精神状態逝ってた。 

翌日、住職さんに来てもらってお経を上げてもらった。生前や前世の因縁のあった牛の悪霊に取り込まれたんだろう 
と言っていた。しっかりご供養するから安心しろと言われたが、部屋では1月近く眠れず、弟の部屋に避難した。 

生えてたおじさん苦しそうだった、牛も憎悪とかマイナスの感情が全部詰まったみたいな目をしてた。 
それから確かに現われなかったけど、本当に成仏できたんならいいと思う。 

色々ある中でコレが一番の恐怖体験。