5 : 本当にあった怖い名無し[] 投稿日:2007/09/25(火) 07:38:01 ID:yrPb/4/50 [1/2回(PC)]
自分が中学校一年生のときの話。 
母親と兄貴と俺の三人で居間でメシ食いながらテレビを見ていた。 
親父はいつも仕事で帰りが遅い。 
午後7時頃になって母親と兄貴が出かけた。 
なんでも兄貴がテニス部に入ったからスポーツ専門店にラケットを買いに行くんだそうだ。 
家には俺一人。みかんを食べながらテレビを見ていた。 
そして、午後8時ごろ。 
「ガリガリ」と何かを引っかくような奇妙な音が廊下から聞こえたような気がした。 
聞き間違いではなかった。 
その後も「ガリガリ…ガリガリ………ガリガリ」と不規則な間をおいて音は鳴り続けた。 
そのとき居間と廊下を仕切るドアは開け放してあった。 
音は廊下を少し曲がったところ、 
ちょうど居間からはギリギリで見えない位置から聞こえているように思えた。 
怖くて、背中をぴったりと壁に付けたまま俺は何かがいるかもしれない廊下をずっと凝視していた。 
どのくらいの間、音が鳴っていたかは覚えていないが、 
結局母親と兄貴が帰ってくるまで俺は動けずにいた。 
当然、音が聞こえてきたであろう場所には何がいるはずもなかった。

 
6 : 本当にあった怖い名無し[] 投稿日:2007/09/25(火) 07:38:50 ID:yrPb/4/50 [2/2回(PC)]
続き 

数日後、家に一本の電話がかかってきた。 
なんでも、親父の特に仲のよかった学生時代からの親友が自殺したらしい。 
その親友の人とは家族ぐるみで仲がよかったため、俺もその人には何度か会っていたし 
その人の子供とも親父の転勤前はよく遊んだ記憶があった。 
そのため、俺たち家族は急遽、その親友宅を訪ねることになった。 
家に着くと大人同士で話し合うことがあるらしく、 
俺と兄貴は部屋から出てその人の子供と別室でゲームをしたりして過ごした。 
話し合いが終わり帰り路の途中、車の中で自殺をした状況について両親から話を聞くことが出来た。 
期日は約一週間前の午後8時ごろ、仕事場の会社のビルから飛び降り自殺だったらしい。 
遺書も残されており、どうやら仕事のつらさが原因だったようだ。 
そのとき、兄貴が俺に話しかけてきた。 
「…なあ、お前があのヘンな音を聞いたのいつだったっけ?」 
その時はすっかりあの奇妙な出来事を忘れてしまっていたため 
兄貴に質問されるまでは二つの出来事の関連性に全く気付いていなかった。 
結果、二つの出来事が起こった時期はほぼ一致し、 
俺たち家族はなんとも不思議な気持ちで自宅に帰った。 
俺自身は特別その人と仲が良かったわけでもないし、 
正直、今では顔もはっきりとは思い出せない。 
ただ、両者が全くの無関係とも思えない。 
あの「ガリガリ」という音が何を意味していたのか、 
それは今でも分からないし、おそらくこれから俺が死ぬまで永遠に分からないだろうと思う。