480 : 本当にあった怖い名無し[sage] 投稿日:2009/08/13(木) 04:29:14 ID:+DofSMKcO [1/1回(携帯)]

函館のある所に観光に行った日なのですが、そこは幕末維新の時代の戦争跡地でそれを伝える碑が建てられていた。幕末が大好きな私に付いて、その美人な友達は観光地とは名ばかりの碑がある場所をみて、旅館(小さくて綺麗な所だった)に帰った。 
帰った直後から「なんか体が重い」と呟く様になり、温泉に入ったら彼女は倒れる様に
寝てしまった。 
心配だった。寝顔も苦しげで熱っぽい、しまいには「ぅ…やめて…」と呟き始めた。 
冷やした方が良いと思って冷却シートかお絞りを貰いに下へ降りた。帰る途中、廊下で「ずっ、ずっ」と何かを引きずる足音が聞こえた。 
不安になって友達の名前を呼んだ。そしたら「うるさい、こいつ、欲しい」と低い男の声が聞こえた。誘拐か強姦目的の池沼かと思って廊下を走った。大切な友達が連れ去られるのが悔しくてたまらなかった。 
やっと近くまで来たら、オレンジの灯に写る、男に絶句した。 

肌はグレーで、髪は黒くて後ろに一つ結い、格好は幕末の旧幕府側が着る今の学ランみたいなのに陣羽織、刀差してる。その男?が友人を小脇に抱えて引きずってる。 
幕末すきでも、幕末志士の幽霊かも、キャー!なんてとても喜べ無かった。 
私はぶるぶるなっちゃって、ただ汗流すばっか。友人は元々色白で、それが更に死人みたいに真っ青になってた。 

男は目が無い顔だったけど、確かに私を見てた。 
友人を小脇から全身を抱える様に抱っこして、今にも走り出しそう。怖くて怖くて、私が誘ったばっかりにこの子は…なんて後悔も過ぎった。 

そんな中、真っ青な顔の友人が「…助けて…」と小さく、掠れた声で呟いた。 
私は途端に、やらなきゃ、助けなきゃ、と心に炎がついて「離してよ!かえして!」と叫んでた。 
真っ黒い何かがぶわっと私に襲ったと思うと、気が遠くなって目を閉じた。 

気が付いたら朝で、友人が不安そうに私をみていた。綺麗な顔には生気が戻っていて、私は安心して笑った。 
(きっと夢だったんだ、興奮しちゃってたんだ) 

何気なく腕をみたら「ソイツハアキラメナイ」と傷で書かれていた。 

もう函館には絶対彼女を連れていかない。