410 名前:聞いた話 ◆UeDAeOEQ0o [sage] 投稿日:2009/04/07(火) 23:05:10 ID:CCeXZqxK0 

兵庫県で聞いた話 

ある日、小屋へ向かった女が夜になっても帰って来ませんでした。 

不安にかられた子供達が隣家に駆け込んで事情が判ったのですが 
既に夜も更けていたので、捜索は明朝ということになりました。 

明けた翌朝、数名の男達が女を探すために山に入りました。 

炭焼き小屋まで登った村人達がまず見つけたものは 
窯の周りの地面を赤黒く濡らした大量の血痕でした。 

女と炭を焼いているはずの夫の姿はどこにも見当たらず 
大声で名を呼んでも返事はありません。 

その時、小屋の近くに生えている大木の梢から 
ガサガサと枝の擦れるような音が聞こえてきました。 

村人達が音の方向を見上げると、大きな木の梢に 
人が二人引っかかっているのが見えました。 

おそらくは件の夫婦であろうその人影は 
枝の上で横になりダラリと腕を垂らしたまま 
どう見ても生きているようには見えません。


411 名前:聞いた話 ◆UeDAeOEQ0o [sage] 投稿日:2009/04/07(火) 23:05:52 ID:CCeXZqxK0 

と…そのうちの一体がもぞりと動いたかと思うと 
おもむろに声を上げはじめました 

「おまえ~・・・・おまえ~・・・・」 

誰かに呼びかけるように体を起こしたかと思うと 
高い枝から無造作に身を投げ、どさりと地面まで落ちてきました。 

体は地に伏せているにもかかわらず、頭が180度反転していて 
空を向いたその顔は、山に篭って炭を焼いていた男のものでした。 

やがて、そいつは腕や足をてんでバラバラに動かしながら 
存外な速さで村人達の方へ這い寄ってきました。
 
「おまえ~…おまえ~…オマエーオマエー」 

恐怖に駆られ、我先にと山を駆け下りた男達の後ろから 
「オマエーオマエーオマエーオマエー」 
と機械のように繰り返す声が追いかけてきました。 

後に、鉄砲を持った男達が小屋のところまで登ってきた頃には 
地面を這っていた男や木の上の亡骸は姿を消しており 
夫婦の行方もふっつりと絶えました。