594 : 本当にあった怖い名無し[sage] 投稿日:2009/07/03(金) 01:01:07 ID:fE7rr3GB0 [1/3回(PC)]

20年近く前の学生時代、夏休みを利用して友人の祖父母がいる田舎に 
自分を含め数人で遊びに行かせてもらった。 

そこは本当に田舎で山がすぐ側にあり、昼は小さな滝がある川でみんなで遊んだり、 
夜は花火やその地方の夏祭り(小さな神社で行われる名前もないような夏祭り)を楽しんだり、 
伝説かと思っていた蚊帳で寝たり、となりのトトロみたいな日々だった。 

友人の祖父母はとても良い人で居心地も良く、のんびりした毎日だったのを覚えてる。 

ただ、前述の滝がある山には、いわゆる神隠しの伝説があって、夜は絶対に入るなと言われていた。 
滝の近くにあったほこら(お社というのか、とにかく小さいけど何かを祀っているふうのもの)があって、 
滝に泳ぎに行く度、新しいお酒やお供えものが供えられていた。 


集落のみんなが大事にしているのが見て取れた。 


友人の婆ちゃんに聞くと、なんでもそこに神様がいて、夜の山はその神様の領域だから 
絶対に侵してはならないと言われた。 

自分達は若くてバカだったから、ある日、その忠告を無視して、山のふもとにある 
神社(夏祭りがあった所)からそのほこらまで、肝試しをしようということになった。 


もちろん、友人の祖父母には黙って。
 
595 : 本当にあった怖い名無し[sage] 投稿日:2009/07/03(金) 01:02:54 ID:fE7rr3GB0 [2/3回(PC)]

>>594の続き(>>593ごめん) 

昼間、滝に遊びに行くついでにほこらの近くにマジックで印を付けた石を 
人数分用意しておいて、それを取って来る…と言った程度のもの。 

ただ田舎なので夜の山は本当に真っ暗で、野犬とかはいないだろうけどとにかく怖い。 

一緒に行ったのは女子2人・男3人だったんだけど、女子2人+男1(B)で行き、 
残り2人の男(Aと自分)は、女子に見栄をはってひとりずつ行くことにした。 

ふもとの神社から滝のほこらまでは片道10分程で、「鋪装されかけた」としか 
言い様のない山道だった。 

だけど足場もそんなに悪くはなく、道なりに上がっていけば滝にはちゃんと着く。 

懐中電灯が2つしか無かったから、ふもとの神社で待機組用と、ほこらを目指す人間が 
1個持つことにした。 

まず女2男1グループが先に行ったが、キャーキャー言いながらもちゃんと戻って来た。 
次に行った男Aが問題だった。一時間経っても戻って来なかった。 


焦った自分達は、全員でほこらまで行く事にした。 


Aを呼びながらほこらまで行ったら、ほこら前に置いてた目印の石は残り1つになっていた。 
だからAはほこらに到着はしたんだろうと思った。だけどAがどこにもいない。 

携帯電話も普及してなかったし、真っ暗な山で懐中電灯1個、ほこらの近くは 
どうどう言う滝の音で自分達も錯乱状態になりそうだった。 
本当に焦り、自分達は結局、急いでBの祖父母の家に戻って、ばあさん達に顛末を話した。
 
ものっすごく怒られた。 

そして駐在さん?やらを中心に、青年団だか消防団だか忘れたけど 
とにかく集落のみんなで夜を徹してAを探した。でもその夜はAは見つからなかった。



596 : 595の続き[sage] 投稿日:2009/07/03(金) 01:03:50 ID:fE7rr3GB0 [3/3回(PC)]

翌日も朝からみんなで探した。その時はAはみつからなかった。 

夜、ほとほと困って、駐在さんが警察をもっと呼ぶとかどうとか言ってる時に 
なぜかAがふらりと帰って来た。片手に目印の石を握っていた。 

自分達は安堵で泣きながらその手をむりやり開かせたのを覚えている。 

Aが握っていた石は、変に黒ずんでいた。血とかじゃなかったと思うのだが、 
とにかく黒くなっててどす汚れた感じと言えば伝わるだろうか。手垢か? 


それを見た自分達は気味が悪くなったけど、Aが戻って来た喜びのうちに、石の事は忘れてしまった。 


Aは、何があったか聞いても何も言わなかった。明らかに様子が変だった。 
放心状態というのか、 Bの祖父母宅の客間に座ってぼんやりしていた。 

翌朝、Bの婆さんにみんなで神社に連れていかれてお払いみたいなのを受けた。 
神主さん?がAにだけ、人型ぽい和紙とお守りみたいなのを渡していた。 
自分達には、今回の事を悔い改め、ほこらにもう一度いって心から謝って来いといわれたので 
その通りにした。神主さんも着いて来てくれた。 


行って気付いたのだが、1個だけ残っているはずの目印の石がどこにも無かった。 


山狩りの時に誰かが持ち帰ったか、どけたかしたのかなと思ったが、どうにも気掛かりだったのを覚えている。 

Aのその後だけど、案の定大学に来なくなった。 
心配だったのでA宅に様子を見に行ったが、Aに会ってもらえなかった。 

ご両親と少し話をしたけど、田舎から戻ってからずっと部屋にこもっている、 
夏風邪かもしれない…くらいしか話してもらえなかった。 
A宅を後にする時、Aの部屋の窓を外から見たら、窓には雨戸がかかっていた。 
Aはその後一度も大学に来なくて、気掛かりだった自分はAのゼミ担に話しを聞いた。 

ゼミ担からは、A一家は県外に引越すことになったので、退学したと聞いた。 
それからAとは連絡が取れず、結局あの時、何があったかはわからない。 

ほんと作り話みたいだけど、石の事とかAに何があったのかとか、わからない事だらけで… 
今でもずっと気になっているのでここに書かせてもらった。