823 : 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ [sage] 投稿日:2009/06/03(水) 21:22:11 ID:IUaDZNkJ0 [2/4回(PC)]

知り合いの話。 

彼の地元の山では、昔から「頬撫で」と呼ばれる化け物が出ていたという。 

夜道を歩いていると、傍の繁みからヒヤッとした手が出てきて、頬を撫でていくのだと。 
遭遇するのは大抵子供だったので、そこを通る際にはよく大人が一緒に付いていった。 


ある年に町の若手が総出で、清掃作業を行うことになった。 


なぜに突然清掃の運びになったのか、その説明は一切無かったという。 
清掃対象は丁度、頬撫でが出ると言われた辺りだった。 
半日の作業の結果、ごっそりとゴミが回収された。 


不思議なことに、その殆どが軍手やゴム手袋といった類の物だった。 
また回収されたそれらのゴミが、焼却される前に寺で供養されたのも腑に落ちなかった。 


「でもね。あの掃除以来、頬撫でがトンと出なくなったんだわ。 
 あのゴミ手袋、何か関係あったのかなぁ」 


現在そこはゴミ捨て禁止の札が立てられており、違反者は厳しく罰せられている。