760 : 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ [sage] 投稿日:2009/07/11(土) 21:52:47 ID:ohBbmvaB0 [2/3回(PC)]

知り合いの話。 

彼は山裾に倉庫を持っている。農作業具を納めているそうだ。 
その中に、いつの頃からあるのかわからない、両手持ちの大きな草刈り鎌がある。 
手入れもしていないのに、錆びることがない持ちの良い大鎌だ。 
 
倉庫を訪れる度、この大鎌のある位置が変わっているという。 
他の農具は所定の位置にあるのに、この鎌だけは必ず違う場所に転がっているのだと。 

「甚だしい時は、外に出て土に刺さってた。 
 最近はほとんど使わないんで、拗ねているのかもな」 

あっさりした様子で、彼はそう流していた。