556 : 1/3[sage] 投稿日:2009/07/19(日) 04:23:51 ID:VWrVuNXHO [1/3回(携帯)]

うちの近くに、背の高い草がぼうぼうに生い茂った空き地がある 
太陽が当たりにくいだけでなく、もとから妙に薄暗いため、非常に不気味だ 

そんな場所はやはり、小中学生的には格好の肝試しポイントになる 
これは、俺がまだ小学生だった頃に、その場所で経験した出来事だ 

空き地には、重いが、決して動かせないわけではない石板が置いてある 
何人かの友人達と共に、必死になったそいつをどかしてみた 

すると…………………階段があった 
地下へ続く、謎の階段………うーん、ミステリー! 

俺達は、とんでもない大発見をしたと喜び勇み、階段を駆け降りた 
中は、当然ではあるのだが、暗かった 
そこで、最も家が近かった者が、ライトを取りに戻った 
 
557 : 2/3[sage] 投稿日:2009/07/19(日) 04:24:50 ID:VWrVuNXHO [2/3回(携帯)]

しばらくして、友人はライトを持って戻ってきた 
ライトを点けて、周りを見渡してみる 

わけのわからない文字が、壁中に書いてあった 
梵字…っていうのだろうか、たぶんそんなようなものだ 
当時の俺達からしてみれば、それは不気味なだけだった 

そんな謎の文字を目で追っていくと、ひとつの扉を見つけた 
えらい小さい扉で、例えるなら茶室の扉 
もうその時にはかなりびびっていたが、ここで逃げるわけにはいかない 
ライトを持った奴が一番最初に、最後に俺が扉をくぐって中に入った 

ガタン! 

扉は…閉まっていた 
パニックになった俺達は、どうにか扉を開けようとする 
…が、押しても引いてもびくともしない 

泣きそうになる俺達を尻目に、ライトを持った奴は、何を思った先に進み出した 
仕方なく、俺達後続の連中もライト持ちの後を追う 



558 : 3/3[sage] 投稿日:2009/07/19(日) 04:26:10 ID:VWrVuNXHO [3/3回(携帯)]

最初は風が吹き抜けていく時の、例の音かと思った 
だから特に違和感を感じることもなく、進む、進む 
進んでいくと、その音がどんどん大きくなっていくのがわかった 

ちょっと待てと、そう言って他の奴らを止めた 
しかし、ライト持ちの奴だけは止まらない 
どんどん先へ先へと進んでいくライト持ちにしがみついて止める 

ライトを奪い、なんで無視しやがると、そいつの顔にライトを当てた 
すると、そいつはもうとうに失神していて、意識がない 
意識がないのにずっと進んでいたのだろうか 

次の瞬間、俺達を振り切って、そいつはまた進み出した…失神しているはずなのに 
風が吹き抜けていくような、あの音がどんどん大きくなる 

怖くなった俺達は、もと来た道を急いで戻った 
扉はなぜか開いていて、俺達はすんなり外に出られたわけだけど… 


その日のうちに、そいつの捜索が行われた 
もちろんその地下へ続く階段まで大人達を案内したのだが… 
そんな小さな扉は存在しなかったという 

あれから十数年が経ったが、未だにあいつは帰って来ていない