556 : 本当にあった怖い名無し[sage] 投稿日:2010/08/10(火) 20:51:37 ID:zqJ0Mclz0 [1/3回(PC)]
今から十年近く前の話です。 
私は当時学生で、地方の某大学の近くで一人暮らしをしていました。 

私の部屋は友人たちの溜まり場になっていました。 
鍵も長期に部屋を離れる場合以外には開け放してあったので、 
私がいない間に友人が勝手に上がりこんでいることも、珍しくありませんでした。 
ずぼらな話ですが、田舎育ちだったせいか、その手のことは 
あまり気にならなかったんですね。 

秋ごろの話です。 
深夜にさしかかるころ、私がバイトから帰ってくると、 
友人が私の布団で勝手に眠りこけていました。 
いくら勝手に上がりこまれることが日常とはいえ、布団に入って寝ているのは 
はじめてだったので、ちょっとびっくり。 
来客用の長い座椅子ソファーみたいなのがあったので、 
そっちで寝てもらうのが暗黙の了解のようになっていたからです。 
が、まあ気にしないことにして、もうちょっと寝かせておいてやることにしました。 

友人は布団をほとんどすっぽりかぶるようにして、 
頭のてっぺんぐらいしか外に出ていない状態です。 
コンビニ弁当を食いながら、「こいつ、Kかな? Sかな?」と考えました。 
布団の髪の毛が黒髪だったので、 
親しい友人のうちで黒髪と言えばこいつらのどっちかだろう、と。 
結局髪の毛だけでは区別がつかず、まあいいやと風呂に入りました。

 
557 : 本当にあった怖い名無し[sage] 投稿日:2010/08/10(火) 20:52:00 ID:zqJ0Mclz0 [2/3回(PC)]
風呂から出ても友人はまだ寝ています。 
仕方がないので、起こしてソファーに移ってもらうことにしました。 

「おい、俺そっちで寝るから、お前はソファーで寝ろよ」 

声をかけると、ヒュッ、と、頭が布団の中に引っ込みました。 
なんと言ったらいいか、うるさくて布団をかぶりなおしたとか、 
自分から布団の中にもぐりこんだ、という感じではありませんでした。 
ただ本当に、布団の中から誰かに勢いよく引っ張られた、という感じで、 
頭がヒュンと入っていったのです。 

当然、布団には一人分のふくらみしかなく、誰かが隠れている風でもなかったし、 
隠れていたとしても、布団の外から悟られることなく、 
そんな芸当ができるとは思いません。 
「……!?」と思ったものの、まだ事態をよく飲み込めず、 
私はしばらく布団を眺めていました。 

ちょっとすると、突然、強烈な不安がこみあげてきました。 
もう一度、友人に声をかけましたが、返事はありません。 
布団は微動だにせずです。 

その時点で得体の知れない怖さに腰が抜けそうになっていましたが、 
ともかくそれを打ち消したい思いの方が勝っていました。 
「おい、なんのいたずらだよ」 
私は布団に近づいて、めくりあげようとしました。



558 : 本当にあった怖い名無し[sage] 投稿日:2010/08/10(火) 20:52:18 ID:zqJ0Mclz0 [3/3回(PC)]
どうせ中には友人がいて、私を驚かせる気なのだと思いました。 
そう思い込もうとした、という方が正しいです。 

布団に近づいた瞬間でした。 
またヒュン、と頭が出てきたのです。 
「ヒッ……ィッ」みたいな声をあげてしまいました。 
大声で叫びたかったのですが、声が出ないというかなんというか……。 

今度は額と目が見えていました。 
目はカッと見開かれて、こちらをまっすぐ見ていました。 
気絶するかと思いました。その目を見ただけで、絶対にこれはKやSではない、 
それどころか人間ではない、と直感しました。 

その後のことはよく覚えていないのですが、気づくと、 
近くのコンビニで、パジャマ姿で泣きながら友人に電話をかけていました。 
(携帯電話は持っていたのですが、部屋に置きっぱなしにしてきたのだと思います) 
友人はすぐにかけつけてくれて、二人で確認もしましたが、 
特に異常なし……。 
布団は誰かが入っているように膨らんでいるだけで、誰もいませんでした。 

結局あれがなんだったのか、よくわからないままです。 
ただ、鍵をかけるようにはなりました。 
冷静に考えると、鍵をかけたからといって、そういうものが入ってこなくなる、 
というわけでもないのでしょうが、 
少なくとも、生身の人間との区別は早めにつくだろうと思ったからです。 

以上で、私の思い出でした。