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 「て…くだ…い」「…る…してくだ…い」…ゆるしてください?うまく聞き取れなかったが、 
たぶんそんな事を言ってたと思う。なんか、Kが取り付かれたようにずっと謝罪をし続けている… 
俺は、このままじゃ危ない、今までの経験からして悪い前兆だと即座に解かった。 
「K!そいつの言う事を聞くな!!!」「何も答えず、今すぐそこから抜け出せ!俺がついとる!!」 
と叫び、ダッシュで上の階へと急いだ「俺がついとるぞ!!」自分に気合を入れる為に叫びながら3階のある部屋に行くと 
そこには―Kの変わり果てた姿があった… 

Kは衣服を身に着けておらず、全身裸を晒した状態で、背を曲げて立っていた。さらに、 
その周りを5人くらいの人影に囲まれていた。体格が良く、この部屋だけ妙に香水臭い 
「おいこっちこい」男達の一人に呼ばれた俺は、おとなしくKのとなりに立った

Kは小さな声で泣いていた。ここから、囲んでいる男の一人と俺との問答か続く 
「肝試し?」「…はい」「年は?」「…20です」「ふーん…」 
「あのさ、ここ私有地」「はい?」「私有地だよばか、お前ら勝手に俺の土地に入ってんだよ」 
「…」「メンバーこれだけ?他はあと何人」「ぼく達だけです」「外のは?」「外のは…友達です」 
「二人じゃねーじゃねーか」「…」俺に質問しているおっさんは「ちょっと見てきて」とつぶやくと 
他の男達は全員階段を降り外へ向かった 
おっさんがタバコを出して一服していると、外からの懐中電灯のかすかな光が天井に当たった、俺の渡しておいたやつだろうか 
わずかにおっさん達の声と、それに答えるあの子達の声がが聞こえてくる 
懐中電灯の光が消えた頃、ほんの少し騒ぎの声が聞こえて、Kのとは違う、別の車のエンジンのかかる音が聞こえた 
おっさんの携帯が鳴った「あー、あー分かった」携帯はすぐ切られた 
「サイフだせ」俺とKはこうなるだろうなと既に諦めていたのか、 
二人とも迷うことなくサイフを取り出しおっさんに渡した

おっさんはサイフをじっくり物色し、免許証など「要るもの」だけ取ると、サイフを俺達に返した 
「ほんとはお前達も乗せてきたいんだけど、お前らは見逃してやるよ」 
俺達はその言葉を聞き、涙が出てきた。こういってはなんだが、純粋に嬉しかったのだ。 
「あっありがとうございます!」「ありがとうございます!」「すみませんでした!」「すみませんでした!!」 
おっさんは俺達の声には無表情に答え、部屋を後にし、しばらく静寂が部屋を包んだ後、車が砂利道を走る音と共に去っていった。 
窓からは、砂利で揺れるワゴンが走り去っていくのが見えた 

その後、俺は親父にこのことを話すと、「馬鹿もん!なぜあそこに入った!!」と顔を真っ赤にして怒られた 
なんでもあそこは何年か前から、何も知らない一般人を相手にヤクザがユスリをかけたり時には人をさらうなんてことを 
しているという噂があるらしい。 
親父は「金とかは盗られてないか?誰か、友達とかは被害に遭ってないだろうな…?」と心配そうに尋ねてきた 
俺は、父親の不安そうな顔を見て「大丈夫、何もされずに見逃してくれたよ」と答えた。