随分前に亡くなったうちの祖母、真夜中に悲鳴上げてた時期があったよ。
もう、恐怖が言葉にならないって感じの、引きつったような悲鳴。
最初の頃は、同じ一階で寝ていた父親や母親が様子見に行っていたんだけど、
「何でもない」の一点張りでその場で聞いても翌朝聞いても、
ただただ「何でもない」しか言わなかった。
泥棒とかそういうことではないようだし、飼ってた犬も反応してなかったし、
大抵悲鳴は一回きりだったので、そのうち両親も様子見にいかなくなった。
でも、ある夜、もう二時も回ろうという頃になって、
祖母の悲鳴が何回も続いた。
さすがにまずいんじゃと二階の自室から降りていくと、祖母は布団に起き上がって、
両手を胸の辺りで震わせたままで硬直してた。「恐怖」ってタイトルがつく
蝋人形みたいな形相で、何度か声をかけたら、ふっと表情が戻った。
それでも怖がってたのは明白だったので、理由を聞いてみたけれどやっぱり「何でもない」。
結局、祖母の夜中の悲鳴はぼけちゃって何も分からなくなるまで続いた。
実はこれには後日談があって、祖母が亡くなって数年経ってから、
元祖母の部屋を父が自分の趣味の部屋にして、そのうちベッドも入れて完全に自室にしたら、
今度はたまに父が夜中の悲鳴を上げるようになった。理由を聞くとやっぱり「何でもない」。
祖母のときはさんざん文句を言っていたのに、父も理由は頑として言わず、
かといって元祖母の部屋から自室を移そうともしなかった。
結局、大酒のみで肝臓を悪くしていた父はその部屋で突然死したんだけど、
(一応検死してもらったけど、心筋梗塞というだけの結果だった)
たまにあの悲鳴と関連はあったのかもともう時がある。
ちなみに、その家は父が亡くなったあと建て替えられたので、既に存在しない。
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