ウチから歩いて30秒くらいの所に公園があって、
そこには甲子園の地区予選とかでも使われてる大きな球場がある。
寝付けない日にはその公園に行って夜風に吹かれながら
タバコ吸ったり球場の周囲をグルっとブラつくのが日課だった。
ある日、深夜2時頃になっても寝付けずいつもの様に公園に行き
球場の周囲を歩いていると、球場の真ん中に誰かいる事に気付く。
「不審者が忍び込んでるのか?」とよくよく見てみると
遠目からでも「人」じゃない事がシルエットで分かった。
恐らくは2.5~3Mくらいはある、縦向きの白い「棒」だ。
レモンみたいに両端が萎んでいて太さは30センチくらい。
「棒」が二本、球場をホバリングしながらフワフワ漂っていて
同じ場所をグルグルと探し物でもしているように動いている。
「なんだあれ…」と思い、凝視しても一向に正体が掴めず
30分くらい見てたら眠気が来たのでその日は帰ってしまった。
翌日、正体が気になってまた深夜2時頃に公園に行ってみた。
球場の真ん中を見てみたら何もおらず、
「気のせいだったのかな…」と帰ろうとしたのだが
ふと見たら今度は球場の端、選手が控えるベンチの付近に
例の「棒」がフワフワと漂っているのを発見した。
ただ、今日は何故か「棒」が一本しかいない。
もう一本はどこ行ったのかと見渡していると、
自分が覗いていた所から10Mほど離れた球場の外に「棒」がいた。
例えるなら「ムンクの叫び」の顔の部分だけ切り取って
画像処理で思いっきり縦に伸ばしたみたいなものがいて、
こちらの様子を伺う様にフワフワ浮いている。
球場の中にしかいないと思い込んでたのに急に目の前に現れ
「っわ…!」と声にならない短い叫び声を上げ
メチャクチャ怖くなってその場から走って逃げだした。
ただ変に冷静で「このまま真っ直ぐ家に帰ったらバレる!」と思い
逆方向から公園を抜けだし、ぐるっと町内一周して裏口から帰宅。
帰宅後も心臓バクバクでその日は結局寝付けず、
翌日以降はその公園には一切近づかないようにして
近所の友達や両親などに話してみたが当然誰も信じず、
この公園では過去に誰か死んだとか心霊現象目撃談とか一切ない。
ただ入念に調べてみるとUFOの目撃例があったらしく、
ぶっ飛んだ推測だけど、あれは宇宙人だったのかもしれない。
数か月間は公園に近づく事もなかったが
それ以降は恐怖心も薄れて普通に「日課」として戻っているが
以来、もう二度と「棒」を目撃する事はなかった。
あれは一体なんだったのだろうか…。
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