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その年の9月か10月頃に 
今度は自分が左折してきた車にはねられて頭を縫う怪我をした 
その道路の突き当たりにある駄菓子屋さんに 
母の使いでアイスを買いに行って店を出たときにぶつかった 
かなりスピードを落として曲がってきたから 
自分はその程度ですんでよかったんだが 
その11月に、今度は自分の父親が 
自家用車で事故か何か分からない死に方をしたんだ 
死んだ場所はその道路じゃなかったけど 
テレビのニュースでも流されたよ 
たぶん新聞にも載ったんじゃないかな 

よく近所で誰かが死ぬと続くっていうけど 
そういうのって、何かあるのかな 

なんで同じ年のその時期に起こった事だって思い出したかって言うと 
自分のとこ、古い家を壊して新しく家を建て替えたばかりだったんだ 
やっとその年の夏前ぐらいから、その新しい家に住み始めたばかりだった 
近所の子が亡くなったときは間違いなく新しい家だった 
これだけは、なぜかはっきりと覚えている 
そして自分がはねられたときは 
まだ暑かったけど、もう夏じゃなかった 
古い家は平屋建てだったが 
事故した相手の人が土産持って謝りに来てくれたとき 
家の中には確かに階段があった 

その後、自分が小学校へ上がるのを機に 
母と仲の良い伯母の家の傍に引っ越すことになった 
新しく建てた家に越してから、まだ1年も経っていなかったはずだ 

そして今から20年ほど前、伯父が亡くなって葬式に行った帰り 
久しぶりにその道路を通ったんだよ 
その時、当時の自分の家がまだそのまま残ってて、ちょっと嬉しかった 
そして件のお地蔵さんも、やっぱりそのままあった 
周りの景色はそんなに変わっていないようで懐かしかったんだが 

その時についでに寄った母の友人宅で、とんでもないことを聞いた 
自分達が住んでいたあの家は、なぜだか住む人がすぐに変わるんだそうだ 
誰か入ったなーと思っていると、またすぐに引越しして空いてしまうんだと 
しかも、母が家を売った相手の不動産屋は 
自分達が引っ越してからまもなく、変死をしたというんだ 
その不動産屋は、建ててすぐに死人が出た家だからとケチを付け 
かなり安くうちの家を買い取った人らしいのだが… 

母曰く 
「父ちゃんと二人で頑張って建て替えた家だったからねぇ」 
まさかなぁ、父ちゃん…