子どものころ家の事情で田舎の親戚に預けられた
転入した小学校は全校生徒120人くらいのところですべてが野暮ったくつまらなかった
余所者ってことでクラスメイトも話しかけてくるやついなかったし
けど一つ下の学年にすごくかわいい女の子(A子)がいて仲良くなりたいと思ってた
転入して最初の日曜日に親戚家の兄ちゃんたちと駄菓子屋に行ってアイス食べながら学校の話をした
「友達できてないなら教えられてないと思うから言うけど、集団登校の一班の子たちとは話すな」
と言われたが聞かなかったことにした だってA子がその一班だったから
それから学校での様子を見ていると一班の子はみんな周りに無視されていて一班同士で固まっていた
先生も何も言わなかった
小学校では学区の端の方の一、八、九、十班は平日は四時に集団下校になってた
自分は学校にいちばん近い五班で自由下校だったから家に鞄を置いて学校に引き返した
集団下校の子たちは四時になると各班長が点呼して帰っていく
隣町の方向へ帰る八、九、十班は巡回バスに乗る
一班は反対方向の山のほうへ歩いて行ったので尾行した
普通はおしゃべりでもしながら歩くものだろうけど、一班はまっすぐ一列で誰もが無言だった
校門を出たところで先頭の女の子が鞄から鈴の束を出して鳴らしながら歩く
それから30分くらい歩いたけど誰ともすれ違わないまま山の入り口にある神社に着いた
社務所の戸口が開いててみんなそこへ入っていく
5分くらいして出てきたとき洋服から白い短めの丈の着物に着替えて素足に草履をはいていた
そのまま神社にお参りしてから裏手に回る
自分は本殿の周りのまっ白い砂利を踏まないように大回りして裏手に急いだ
そうすると本殿の右斜め後ろに石段のような石畳のような道があってゆるく蛇行しながら山の奥に
続いてて、鈴を鳴らしながら一列でみんなはそこを進んでいく
たぶん山の裾をぐるっと回って反対側の平地に着いたところにひらひらした紙がついてる藁縄が
張ってあってその手前で列が止まって鈴を鳴らし続けてると縄の向こうから幼稚園ぐらいの子供が
歩いてきて縄を持ち上げる
みんなそれをくぐって先へ進む
縄の向こうはひらけた広場みたいで白い砂利が敷かれていてその向こうには大きな日本家屋があった
砂利を踏んだら尾行がバレるから先に進まずに帰ったけど夜道がめちゃくちゃ怖かった