KAI427020_TP_V

伯母の様子のおかしさに、どこか具合が悪いのかと 
傍に駆け寄って抱き起こそうとしたとき 
「あ、あ、あ、あついー、あついー、あついーっ!!!」 
首をかきむしりながら、突然、伯母が顔を上げて叫んだそうだ
「みず…水を頂戴!早くっ!みずっ!みずっ!」 
焦点が合っているのかどうかすら分からない眼差しを母に向けながら 
伯母は狂ったように繰り返した 
「みずっ!みずをっ!」 

いくら飲んでも、もっと水をもっと水をと言う伯母に 
きりが無いと思った母は、家で一番大きな薬缶にたっぷりの水を汲み 
それを伯母に差し出したらしい 
伯母はそれを受け取ると、首を煽って飲みだした 

重い薬缶を眼前に抱え 
口の脇から飲み込みきれなかった水が零れるのもかまわず 
必死としか言いようの無い様子で 
伯母は水を飲み続けたそうだ 
傍でその様子を見ながら、あの時は心底恐ろしかったと、母は言っていた