そして五歳児、つまり年長組になったころから、
ようやく友だちの輪にも入れるようになり、毎日だんだんと笑顔が増えていった。
そんなおり、ある週末にお祖母ちゃんにつれられて、
買い物に行こうとしていた時、歩道に乗り上げてきたダンプカーに二人とも跳ねられてしまった。
居眠り運転だった。お祖母ちゃんの方は助かったが、
ちかちゃんは内臓を深く傷つけていて、治療の甲斐なく亡くなってしまった。
当時担任だったという先輩の保育士からそのことを聞いて、とても胸が痛んだことを覚えている。
由衣先生は緊張して、
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『ちかちゃんのお父さんですか』
と言った。男性は静かに目礼して、懐からぬいぐるみを
取り出した。
取り出した。
小さなクマのぬぐるみだった。