2019年01月

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    俺はいつも海水浴場から少し離れたテトラポットの周辺を釣り場にしていた。 
    その日は薄曇の日で泳ぎに来てる人は殆どいなかったけど、一人だけやけに遠くを泳いでるのが見えた。 
    波が立つ度に覗く頭や手足を見て、それが友人だと分かった。 

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    私は所謂「見える人」だ。と言っても「見える」「会話する」くらいの事しか出来ないが。 
    私が体験した中でなかなかレアなものを一つ。小学校4年生くらいの頃の話。 
    古都に越してきて1年ほど経った時分。夕方、学校から帰ってドラゴンボールの再放送を鼻息荒く見ていた。 
    本格的な夏を前に、すでに室内は動いていなくてもじっとり汗をかく温度。 
    網戸越しに夕方の少しひんやりした風と、鳩の鳴き声が私まで届いた。 
    ホロホロ鳴く声に若干の違和感を覚え、何の気なしにベランダへ意識を向ける。 

    【【不思議体験】ホロホロ鳴く声に違和感を覚え何の気なしにベランダへ意識を向ける】の続きを読む

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    友人と一緒にカエル捕りに行き、俺達は狭い踏み切りで足止めされてあのカンカン言う音を聞いていた。 
    友人はとにかくバイトをいくつもいくつも掛け持ちしていて、パン工場や印刷工場、 
    洗濯工場に清掃と、その時々で時給や日給の一番良い物を厳選していたのだけど、 
    それだけでなくて普通の学生らしい読書感想文書いて500円とか、宿題のコピー300円とかそんなのもしてた。 
    その中のひとつがカエル捕りで、知り合いの金持ちがアロワナかなんかを飼っていて、 
    餌のカエルを持っていくと気前の良い時は5000円くらいくれるんだそうだ。 
    その日は工場のバイトをした後に田んぼでカエルを獲っていかなきゃならないというので、その後に何だったか友人との約束を控えてた俺は先にその田んぼで友人の代わりにカエルを獲っておく事にした。 
    意外にもカエルは簡単に獲れて、畦道で一服しながら友人を待っていると、踏み切りの向こうに女の子の頭がチラチラと見えた。 

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    神棚がある家は沢山あると思う、あそこには律儀にちゃんと神様がいて私は家神様と呼んでる。 
    他に土地神様がいて、土着神さまなんて大層なものではなく個々に縄張りがあるよ的な考えでいい。 
    当たり前だけど土地のうえに家を建てるから、家神様と土地神様は提携を結ばなければいけないが、中には反りが合わない組み合わせもあると聞いた。 

    土着神は縄張りを見張って、家神は血を見張るという違いのせいだろうか。 

    幼い頃からそんなものが私は見えていた。

    【【不思議体験】土着神は縄張りを見張って家神は血を見張る】の続きを読む

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    僕は師匠に続いて部屋の外へ出た。そしてボロ軽四の助手席に滑り込む。外は暗かった。月明かりが雲に半分遮られている。車を発進させながら、師匠は言った。 
    「感じたのか」 
    「はい」 
    「これは霊感じゃないぞ」 
    霊感じゃない? 
    そう言われて、腑に落ちるものがあった。確かに霊感とは少し違う気がする。霊の気配をどこかに感じたわけではなかった。 
    ではなんだと言われると、説明し辛い。だがとてつもなくおぞましい感じがするのだ。 
    「こいつは……」 
    師匠は前を見据えながら言った。「嫌な予感ってやつだ」 
    車は東へ向かい、やがて川沿いの道に出た。 

    【【恐怖体験】種(しゅ)として絶滅を避けるために実らない種(たね)をばら撒き続けている 後編】の続きを読む

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    僕はオカルト道の師匠から頼まれて、現像された写真を受け取りに行った。 
    店舗にではない。普通のマンションの一室にだ。表札もないその部屋のドアをノックすると、しばらくして中から返答があった。 
    「なんだ」 
    わずかに開いたドアの隙間からチェーン越しに、陰気な肥満男の目が覗く。『写真屋』と呼ばれる男だった。 
    師匠からのことづてを告げると、めんどくさそうに一度ドアを閉め、また開いた時には紙袋を持っていた。 
    「ん」 
    と言うので、受け取る。 
    実に冷たい態度だった。師匠と一緒に訊ねて来た時とは随分違う。いつも師匠に対して憎まれ口を叩いているが、訊ねて来てくれたこと自体は嬉しそうだった。結局のところ師匠が好きなのだろう。 
    どういう歪んだ「好き」なのかは知りたくもないが。 
    「カネ」 
    と言って伸ばされた、栄養過剰な芋虫のような指を見つめて、僕は用意してあったセリフを吐く。 

    【【恐怖体験】種(しゅ)として絶滅を避けるために実らない種(たね)をばら撒き続けている 前編】の続きを読む

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    依頼人は俯いてそっと息を吐いた。まるで凍えているような口元の動きだった。 
    話が終わったことを確認するためか、師匠はたっぷり時間を開けてから口を開いた。 
    「お祖母ちゃんではなかったと?」 
    「はい」 
    声が震えている。 
    「棺おけの中にいたのは、祖母ではありませんでした」 
    「そんな」 
    僕は絶句してしまった。 
    それでは、一体誰の通夜だったのだ。 
    「お祖母ちゃんではなかったというのは、確かですか。つまり、その、死んだ人を見たのは初めてだったのでしょう。死因にもよりますが、死後には生前の顔と全く違って見えることもあります。 
    死化粧というものもあります。そのため、まるで別人に見えてしまったのではないですか」 
    そういう師匠の言葉に、頼子さんは頭を振った。 
    「いえ。同じくらいの年齢のお年寄りではありましたが、確かに祖母ではありませんでした。今でも白い花に囲まれた顔が瞼の裏に浮かびます」

    【【切ない体験】ひとりぼっちを持ち寄ってひとときの幸せを共有していたのだ 後編】の続きを読む

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    その女性は五十代の半ばに見えた。 
    カーキ色の上着にスカート。特にアクセサリーの類は身につけておらず、質素な装いと言っていい。 
    「こんなお話、していいのか…… ごめんなさいね。でも聞いていただきたいんです」 
    癖なのか、女性は短くまとめた髪を右手で押さえ、話しにくそうに口を開く。 
    大学一回生の冬。バイト先である、小川調査事務所でのことだ。 
    僕と、そのオカルト道の師匠であるところの加奈子さんは二人並んで依頼人の話を聞いていた。 
    だいたい、うちの事務所に相談に来る依頼人は、興信所の中では電話帳で割と前の方に出てくるという理由でとりあえず電話したという場合か、 
    あるいは他の興信所で相手をしてくれなかった変な依頼ごとを持っているか、そのどちらかだった。 
    今回はその後者のようだ。 
    「あのう…… 実は私の祖母のことなんです」 
    来客用のテーブルを挟んで僕らと向かい合ったその女性は、出されたお茶も目に入らない様子で、うつむき加減におずおずと話し始めた。 

    【【切ない体験】ひとりぼっちを持ち寄ってひとときの幸せを共有していたのだ 前編】の続きを読む

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    やっと自転車の補助輪が外れたぐらいの歳に近所の2つ上のAに誘われて 
    近所の山に遊びに行った時の話。 


    【【恐怖体験】あの時の犬なんじゃないか?】の続きを読む

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    昔家の近所のじいさんがきのこ狩りに行った時、心臓麻痺かなんかで亡くなったらしい。 
    たまたま近くで山仕事してた人達に見付けられ救急車で搬送されたが駄目だったらしい。 

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