2023年03月
お母さんのことはあと30年後に迎えに来る
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面会謝絶なんだけど、母の顔をひと目見たくて、こっそり病室に入ったんだ
そしたら機械をたくさんつけられて、ベッドに横たわる母の身体の上に、亡くなったはずの祖母が座ってた
祖母は私を見るとにっこり笑って言ったんだ
「あんたはまだ小さいから、お母さんが必要だもんね。お母さんのことはあと30年後に迎えに来ることにするから。今回はあんたの元に戻らせるからね」
翌日には母の意識も回復し、その後は後遺症もなく無事に退院した
私も大人になり、親になったある日、母は心不全でベッドの中で亡くなった
通夜の日、指示されたわけでもないけど、ひとり棺の前で線香を絶やさずに座ってたら、ふと昔のことを思い出した
あの事故の日は何日だったんだろうかと
兄は学校で「明日学校を休んだら、バレンタインのチョコが貰えなくなる」と思った記憶があるから、2月13日に間違いないと言った
私が小学校入学式の時はまだギプスをしていたから、年は確定していた
それは間違いなく、事故から30年後の同じ日だった
授かり様
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うちのお寺は癇の虫まじないがよく効くと評判で小さな子をつれた家族がよくくる。
当時年頃が近い一歳ちょっとの私を祖母が檀家さんのお孫さんと会わせようと客間に連れていった。
そのお母さんは年子でふたりめ妊娠中なんだけど予定日が過ぎてて困っていたらしい。
私は相手の子と座って遊んでたらしいが急に相手のお母さんのお腹を撫でてお母さんの横で遊び続け、別れ際も撫でた。
次の日その檀家さんから連絡があってあのあとすぐに陣痛がきて無事に産まれたらしい。
その後庭先で遊んでた私は訪れたお嫁さんのお腹を撫で、その日はずっとその人から離れようとせず、母に引き剥がされるまで何度もなで続けたらしい。
その後そのお嫁さんは妊娠した。
そんな事が一年続いた頃には周りもなんか不思議ねぇと噂しはじめ
たころ、尋ねてきた檀家さんをお出迎えした私はお嫁さんのお腹に抱き付き
「あかちゃんいーこ!」
といい撫でたらしい。
そしてお嫁さん妊娠したと後日号泣して私を抱きしめてお礼を言った。(これはなんとなく覚えている)
流産繰り返してて、今回もダメかも知れないと諦めてたが無事に安定期に入り今まであった安産妊娠などの出来事は偶然じゃなくて、私がきっと関係してる、私のお陰だと家族総出でお礼をしに来たらしい。
お寺を離れた三歳からは長期休みにしか戻らなかったし、十歳のころ隣の家の幼なじみの牛の鈴が難産で私が頭を撫でてやったらすぐに破水し、無事出産したのを最後にその不思議な力は無くなった。
(長期休みのときはずっと縁側に座ったり寝たりしてて、ふときになった人の元に行きお腹やこしを撫でてた。)
三十路になった今でも祖父母のとこに帰れば檀家さんには授かり様と呼ばれ、手を握られるし、その時産まれた子にもお礼を言われたり、未だに私宛にお年賀や暑中見舞いなど送られてくる。
どんな力なのかはわからない。本当に自然とその人のお腹回りに引き付けられるような感覚で手を伸ばすのを我慢ができなかった。
あれが一体なんだったのかはわからないが、もっとわからないのは何故私は三人子供産んだけど全員切迫早産や重度の悪阻や早産、出産時の出血多量で決して楽な出産では無かったことが解せない…。
家にお婆さんなんかいない
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するとピンポーンとチャイムが鳴ったので母親が出た
どうやら薬屋さんだったらしい
結構長く話してたので薬屋さんが帰った後に「長いこと話してたね なに喋ってたの?」と聞くと怖いことを聞いたという
詳しく聞くとその薬屋さん、数ヶ月前にうちに来たらしい
その時私でもなく母でもなくお婆さんが出てきたという
そのお婆さんは薬がどこにあるか分からないような感じだったので「いつもその引き戸から奥さんが出してますよ」と言った
お婆さんが「よく息子がこの薬飲むんですよ~」と言っていた
代金の800円をお婆さんが払ったという
この話を聞いて家にお婆さんなんかいないし、私の家に息子という存在はいない(男は父だけ)
母が薬屋さんにどこかの家と間違えてるんじゃないかときくと、絶対にこの家だったという
誰が対応したかを記録してるらしいんだけど母が出たら「奥さん」、もし私が出たら「娘さん」、その時お婆さんが出たから「お婆さん」と記録してたという
明るくハキハキしたお婆さんで、そのお婆さん以外は家に誰もいない雰囲気だったそう
詳しく日にちを聞くとその日のその時間帯は私も母も父も家にいない時間で少し怖くなった
じいさんが死んでから色々俺が変な行動起こすようになった
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