236 : あなたのうしろに名無しさんが・・・[] 投稿日:04/05/15 19:38 ID:UNUVBrb5 [1/2回]
中学生の頃、病気で父が死んだ。
葬式からしばらくは、死んだことを自分で実感できずに、涙も出ず、
私は薄情な人間なんだとぼんやり思いながら過ごしていた。
その頃の私は寝てばかりだった。あんなに寝ることはないっていうくらい一日の
大半を寝て過ごした。今思えば無意識の内に寝ることに頼っていたのかもしれない。
あと、多分なんとなくだけど生命力が低下していた気がする。何もやる気が起きなかった。
そしてある日の夕方、父の部屋でテレビをつけっぱなしで寝ていたら、
「○○(私の名前)!」と呼ぶ声が聞こえた。「お父さんだ!!」と思ってガバッと飛び起きたら、
それはテレビのCMで、あるタレントがこちらを向いて笑いながら、「○○!がんばれ!」と
言っていた。偶然にも同じ名前だっただけだった。
でも後にも先にもそのCMを見たことはないし、私が聞いたの明らかに父の声だった。
そこでふと我に返り、父を亡くしたことがリアルに私の体を駆け巡り、
父のいなくなった父の部屋でワンワン泣いた。
あのCMは偶然流れただけかもしれないが、私の中ではとてもとても大きなものだった。
(続きます)
237 : 236[] 投稿日:04/05/15 19:45 ID:UNUVBrb5 [2/2回]
それから、度々父が夢に出てくるようになった。
でも不思議なことに、はじめの頃は顔もしっかり見えていたんだけど、
段々と後ろ姿だけになり、声だけになり、最後には“気配”だけになっていた。
“気配”だけになったのがちょうど大学の2年くらい。
“気配”だけでも私にはその存在はリアルに感じられ、父の夢を見た朝は
いつも涙を流しながら目が覚めた。
父が“気配”になった頃、私には彼氏ができ、そして同棲をはじめたのだった。
それまでは慣れない場所でひとり暮らしの私を心配し、遠くから見に来てくれていたのかもしれない。
でも私を大切にしてくれる人が現れたから、安心して最近は現れないのかもしれないなあと思う。
同棲をし始めてから、父はぱったり夢に現れなくなった。
でも、先日祖父が1週間くらい昏睡状態が続き、「もうダメだろう」と言われて、
誰もがダメだと思っていた。私は、実家に帰って一晩中父の仏壇に祈りつづけた。
「まだ、おじいちゃん連れて行かないで。お父さんいなくなっておじいちゃんも
いなくなったらみんな悲しがる。お母さんのために、私のためにもまだお願いだから
連れて行かないで」と涙を流しながら手を合わせ続けた次の日、おじいちゃんは
奇跡的に目覚めた。そして危ないと言われながら半年経った今もなんとか生きている。
きっと私はあれは父のやさしさだと思っている。
238 : あなたのうしろに名無しさんが・・・[sage] 投稿日:04/05/15 21:23 ID:jEzERziN [1/1回]
>>236/237
今宵も胸がジーンとなるお話を伺うことが出来ました。
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