269 : 本当にあった怖い名無し[sage] 投稿日:2008/08/30(土) 16:30:37 ID:jLZ8v6gJ0 [1/1回(PC)]
昔通っていた高校は新設校で別に七不思議とかなかったんだけど、 
そのうち、生徒の中の「見える奴」が、霊が校内のどこそこに 
いるとか言い出した。 
その手の話に飢えていた生徒たちは、一斉にその話に飛びついて、 
最終的には学校自体が巨大なお化け屋敷状態。 

俺は少数の「見えない」派の一人だったんだが、「見える」派の 
声の大きさには敵わなかった。 

騒ぎを無視できなくなった職員側は、とりあえずの策として、 
坊主の資格を持っている先生に、全校集会で念仏を上げさせてみた。 
するとあっさり幽霊騒動は終息して、後には幾つかの怖い話だけが残った。 

ところが「見えない」派だった俺たち的にはそこからが騒動の始まりだった。 
何でか知らんが「見える」派が見えなくなったのと入れ替えに、「見えない」派が 
見えるようになってしまったんだ。 
それまで顰蹙を買いながらも「見えない」と言い続けてきたから、今更誰も 
まともに話を聞いてくれない。 
結局、三年間、ずっといろんなものを見続けたけど、怖い話としては俺たちに 
関するものは何一つ残っていないはず。 

救いはあんまり怖いものはいなかったことかな。 
俺の場合、定番は弓道場に出る小さな女の子だった。俺が時々、一人で射場に 
立つと、的前に唐突に現れて、標的になりたがるお茶目な奴だった。