808 : 本当にあった怖い名無し[sage] 投稿日:2008/12/15(月) 02:31:49 ID:yAEXwMR+0 [1/2回(PC)]
県北の山形県境の小さな町、府屋。 
その少し手前に大崎山がある。 
大崎山は海にせり出していて、その先端は絶好の釣り場である。 
ただ、先端の釣り場に行くには、磯伝いに行くか、もしくは山越えで行くしかない。 
どちらにしても、足場の悪い所を釣具を持って、かなりの距離を歩かなくてはならず、少々しんどい。 
これは、そんな大崎山の磯に今年の秋、友人と2人で夜釣りに行った時に体験した話です。 

まだ明るい内に釣り場に着いた私達は準備を済ませ、釣りを始めた。 
予想通り、釣り場には私達2人だけである。 
他に釣り人がいないので私は、友人とは離れたポイントで釣っていた。 
その日は、風も無く波も穏やかで「良い釣りが出来そう」と期待が膨らんだ。 
日が落ちる前に、30~35cmの黒鯛を2枚釣り上げ、上々のスタートだ。 
日が落ちてからも、40cm、38cm、46cmと良型が釣れた。 
まだまだ餌捕りが多い時期だけにいいペースだ。 
しばらくして、アタリも無くなり時計を見るとPM23:30を過ぎていた。


809 : 本当にあった怖い名無し[sage] 投稿日:2008/12/15(月) 02:32:41 ID:yAEXwMR+0 [2/2回(PC)]
続き 

魚の気配が遠のいたので、磯に腰掛け一服しながら「ぼ~~っと」海を見ていた。 
タバコ2本と缶コーヒーを飲み干して、何気なく釣り座から左下の瀬際を見ると瀬際に 
「何か大きな物が浮いている?」 
流木ではなさそうだ。 
「水死体だったら洒落にならないな」 
と思い、懐中電灯を片手に瀬際に下りて行き、浮いている物体を照らした。 
「人形? いや、人だ。男性の水死体みたいだ」 
男はうつ伏せに浮いている・・・ 
警察に水死体を見つけたと連絡しなければと思い、友人を呼ぼうとした時、水死体は足の方からゆっくりと沈みはじめた。 
「まるで海底から足を引っ張られている様な感じで男は沈みはじめた」 
頭部が沈む瞬間、懐中電灯で照らされた光の中で 
「男が私の方を見て、ニヤリと笑った」 
そして、水死体だと思っていた男は、スーっと消えていった。 
「暗い海底に沈んで消えたのでは無く、煙が消える様に目の前から消えたのだ」 
それを見て、暫く固まる俺・・・ 
どれ位、立ちすくんでいたのだろう? 
10分? いや、1~2分だったかもしれない。 
そんな時、友人が私を呼ぶ声が聞こえた。 

私は我に返り、その場を離れ友人の元に向かった。 
その瞬間、「ザッバーン」という、大きな波が磯にぶつかる音がした。 
振り返ると、今さっきまで私が居た瀬際が波で洗われていた。 
そして『もう少しだったのに・・・』と言う声が、まっ暗い海面から聞こえた。 

私は友人の所に行くと、友人を怖がらせない様に 
「朝まづめの時合いには他の場所で釣りたい」 
と、別の理由を付け大崎山の磯を後にした。