962 : 本当にあった怖い名無し[sage] 投稿日:2010/01/29(金) 23:01:31 ID:gADae/VV0 [1/5回(PC)]
 
その日は大学の友人と就職活動について相談をするために、大学の近 
くに一人暮らしをしているAの家に集まることになった。 
んで、集まったのは語り部の俺とA、それとBの男3人、C、D、Eの女が3人。 
集まってから、しばらくは鍋を囲みながらそれぞれの就職活動につい 
て話をしていたが、やはり大学生。集まれば当然騒がしくなってくるし、 
酒も入ってくるってなことで、最終的にはただの宴会になってしまった。 
しばらくして、B、C、Eが寝てしまい俺とA、Eの3人で酒をチビチ 
ビと飲んでいた。 
そのあともたわいのない話をしていたのだが、ふと気がつくとAがベラ 
ンダに出るためのガラス戸の外を気にしだした。最初は、そっちにCが寝 
ていたので「こいつ、Cに気があるのか」とニヤニヤしていたのだが、 
どうも違うらしい。 
落ち着きなくソワソワとしだしたかと思ったら、ついに震えだした。 
「ヤバイヤバイ」と顔面蒼白でつぶやき続けるAを見て、さすがに様子 
をおかしく感じた俺とEは彼に事情を説明するように求めた。 
すると、彼はポツリとつぶやいた。 

続きます

 
963 : 本当にあった怖い名無し[sage] 投稿日:2010/01/29(金) 23:09:15 ID:gADae/VV0 [2/5回(PC)]
>>962の続き 

A:「見てる」 
俺:「は?誰がだ?」 
俺はベランダの外を見たんだけど、誰もいない。 
周りの民家の明かりが静かにともっているだけなのだ。 
でも、Aの震えはどんどんひどくなっていく。 
E:「俺君。誰かいるの?」 
俺:「いや・・・、誰もいないと思うんだけど」 
そういって、俺はベランダのガラス戸を開けようとした瞬間、 
A:「やめろ!!」 
Aが初めて見せる表情で、俺を怒鳴りつけた。 
このせいで、寝ていた連中も全員目が覚めてしまい、 
まるで俺とAがケンカでもしたかのような雰囲気になってしまった。 
俺:「なぁ、俺にはだれもいないように見えるんだが。お前には何が見えているんだ?」 
わけがわからないので、イライラし始める俺の肩をCが叩いた。 
C:「俺君。今日はここに泊まろう」 
俺:「はぁ・・・?」 
C:「いいから。他のみんなも絶対に部屋の外に出ないでね」 
B:「はぁ?俺、終電が近いし・・・」 
C:「だめ。今日はここに泊って。A君、いいよね?」 
Aは静かにうなずいた。 
不満を垂れるB、DにAを任せると、Cは俺とEを台所に連れて行った。 
事情を説明してくれるようだった。 
C:「あのね。ベランダの窓のところに女の人がいる」 
俺:「・・・、はあ」 
E:「冗談でしょ?」 
C:「ううん、なんていえばわかるかな・・・。貞子、いやカヤコみたいな女の人。凄いこっちを睨んでる」 
俺はここでやっと状況をそこそこ理解し始めた。 
つまり、洒落怖の状況が自分に降りかかってきたということが。 

続きます



965 : 本当にあった怖い名無し[sage] 投稿日:2010/01/29(金) 23:12:38 ID:gADae/VV0 [3/5回(PC)]
>>963の続き 

俺:「つまり・・・、霊、なのか」 
C:「うん。でも、そんなにヤバいのではないと思う。ほっとけば消えるでしょ」 
俺:「Aに憑いてるわけではないんだな?」 
C:「たぶんね。私たちがここで騒いでいるから見に来たのかもしれない」 
とりあえず放っておけばいいとのことだったが、今誰かが外に出ていけば 
おそらくソイツは外に出たやつに憑いてしまう危険が高いとのことだったので、 
ここに泊まれということらしい。 
Eは半信半疑みたいな顔だったが、 
それでもAのさっきの様子を見ているからこの話を信じたようだった。 
部屋に戻ると、BとDは暇そうにTVを見ており、Aは布団にくるまっていた。 
俺:「まだ見ているのか」 
C:「うん」 
仕方がないので、AとCには布団で寝てもらうことにして、 
残りのメンバーでトランプでもすることにした。 
だが、いつのまにやら眠ってしまったのだった。 
次に起きたのは、誰かの大きな悲鳴が聞こえたからだった。 
飛び起きて隣を見ると、Cがベランダのガラス戸を指差し、 
ガタガタを震えているではないか。ぱっと、そちらを見ると。 
 ガラス戸に、まるでヤモリのように四つん這いで張り付いた女の姿が 
今度は俺にも見えた。 
凄まじいほどの殺気というか、なんというか、 
とにかく念のこめられた瞳が俺を見つめていた。 
 すでに他のメンバーも起きていて、この状況を見つめていた。 
人間、許容範囲を超えると何もできなくなってしまう。 
みんな、ポカンとしたままジッと窓のヤモリ女を見つめていたが、 
その女が窓のガラスに頭突きをかます「ゴンッ」という音で、 
ハッと我に返った。 



967 : 本当にあった怖い名無し[sage] 投稿日:2010/01/29(金) 23:14:52 ID:gADae/VV0 [4/5回(PC)]
 何かしなくては。そう思って、立ち上がろうとした瞬間、Dが叫びながら 
ドアに走り出していった。ヤバい!今開けられたら、こいつが中に・・・。 
そう思って、止めようとした瞬間。 
ドアがまるで大男にでも殴られたかのように「ドカン!」と大きな音を鳴らした。 
そのせいで、Dはドアの前で腰が抜けてしまったようで、その場で漏らし始める始末。放心状態のBをなんとか叩き起こし、Dを部屋の中央まで運ぶと、 
みんなで机をどかし、部屋の中央に固まり、そのまま朝まで過ごした。 
その間もずっと窓に女は張り付いたまま。ドアもガンガン音が鳴り続けていた。 
次の日、Aは当然部屋を出て少し遠い実家に帰って行った。 
結局、何が原因なのかさっぱりわからず。 
あの霊の正体もわからなかったが、後日、Cが予測を話してくれた。 
曰く、俺や他の連中はわからなかったが、この部屋の周りに 
たくさんの霊が集まっていたらしい。 
おそらく彼らは私たちがうらやましかったのではないか、とCは言っていた。 

駄文、長文に付き合ってくれてありがとう。