246 : 本当にあった怖い名無し[sage] 投稿日:2010/07/18(日) 19:59:19 ID:7q59eF380 [1/3回(PC)]
まだニッテレが特ホウ王国をやってた頃。 
お湯を沸かすと怪鳥音で鳴くヤカンのテープが投稿された。 
だいぶクッキリした音で、「キュウゥゥゥウウゥッ!!」て聴こえた。 

良い出来だったので、同封されてた封書にも目を通すことになった。 
テープに添えてある便箋の他に、手紙がついてるのは印象的だった。 
お手紙はプロジェクターに映すんだけど、部屋の空気が澱んだよ。 
澱んだ、というのは気体じゃなくて人心なんだけどな。 

そのヤカン、投稿者の姑の生前は虐待のシンボルに使ってたとのこと。 
ヤカンで熱系の攻撃や『寝耳に水』等をするわけでなく、 
部屋のドアノブ(外側から鍵がかかるタイプ)に引っ掛けて 
「ただいま姑を蹴ってる最中。入るな、気にするな」の合図。 
投稿者の家で「ヤカンかけといて」は、2通りの意味を持つ。 
フタを外してドアノブに引っ掛けるか、普通にコンロで湯を作る。

 
247 : 本当にあった怖い名無し[sage] 投稿日:2010/07/18(日) 20:01:48 ID:7q59eF380 [2/3回(PC)]
姑さんの生前は、ヤカンに「シルバーケットル」と印字されたシールが 
残っていたとのこと。それで、語呂が良いため導入。 
ちなみに「シルバーケットル」は「銀のヤカン」の意味で、 
たいがいのメーカー品にそう印字されたシールは貼ってある。 

そして、気がつけばヤカンが珍しい音を出すようになっていたと。 
また、結局こんなのが最後の思い出の品になってしまったみたいなこと。 

テープと書類は、「いつか社会的制裁をするのに役立つ」から 
部署で保管していくことになった。 
しかし最近聞いた噂では、10年ぐらい前に処分されてたらしい。 
ヤカンの鳴き声じゃ虐待の証拠物件にならないしテープは劣化するから、 
電子ファイル化を委託した業者にテープも処分してもらったとのこと。 

そして聞くところによると、書類なんか投稿採用を目的とした嘘とでも 
言えるし今は個人情報保護の問題があるからみたいな話になって 
問題の封書もシュレッダーで裁断されたらしい。 
生きてる遺族の主張や権利は、尊重や畏れざるを得ないわけだな。



248 : 本当にあった怖い名無し[sage] 投稿日:2010/07/18(日) 20:06:24 ID:7q59eF380 [3/3回(PC)]
それ以来、百円均一とかでシルバーケットルを見かけたら 
なんともいえない気持ちになる。 
買われていくヤカンたちは、どんな世界を見るんだろうか。 
どんな想いが宿るんだろうか。 
付喪神は、居ると思うんだ。 
データ流出には厳しい業界だし制作プロなんかいつまで続くか 
わからんけど、もし機会があれば Up Load してアドレスを貼るよ。