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550 : 祠1[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 00:02:56.28 ID:5GINjljK0 [1/11回(PC)]
ホラー好きの友人と3人で遊んでいるときに、心霊スポットに行こうという話になった。 
ネットを使って調べていると、行けば絶対に幽霊が出ると噂のトンネルを見つけた。 
中で複数人の叫び声のようなものを聞いたとか、 
ボロボロの和服を着た男女複数が見えたとか、 
体験した人の内容は様々だったけど、とにかく必ず何か起きているのは間違いないみたいだった。 
場所と道を確認するためネットで地図を調べていたら、 
トンネルとは別に気になるものを見つけたんだ。 
そのままの地図ではなく、意味なく航空写真にしたりもしてたんだけど、 
そのトンネルから少し離れたところに、小さな神社のような建物が写ってたのね。 
それは木々に囲まれたところにポツンとあって、 
地図にすると記号表記や名前は書かれてないけど、 
写真の状態では確実にそこにあるのね。 
近くに道は通ってるんだけど、そこまで繋がっている道は地図上にないし、写真でも確認できない。 
もう少し山の上のほうにある神社は記載されてるし道も繋がってるんだけどね。 
小さい建物のようだから、表記されないものなのかもしれないし、 
実際にそういうものかもとも思ったんだけど、なぜか妙に気になった。 
それで友人と話をして、そこにも行ってみようということになった。


559 : 祠3[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 00:11:06.52 ID:5GINjljK0 [3/11回(PC)]
トンネルを抜けてからしばらくすると、上のほうにある神社へ繋がっている道についた。 
目指す建物はその道を途中でそれて、地図上で道がないところを抜ければ行けそうだった。 
神社へ繋がる道は狭くて車を駐車できそうな場所がなさそうだったので、 
その道に入る前のところに車を停めた。 
地図に載っている道からどの程度の距離にあるのかを事前に細かく確認し、 
おおよその場所を記入しておいたものを持ち、 
携帯のGPSを見ながら建物に向かっていきそうな道を探した。 
歩いていると周辺にくらべて少しだけ視界が開けた場所を見つけた。 
木の生え方が他の場所ほど密集しておらず、地面が平らか緩やかな傾斜になっていた。 
そこを抜けていけば建物のほうへと向かえそうだったので、 
改めて方角などを確認して、その場所へ足を運んだ。 
建物があると思われるほうへ進んでいると、 
途中からまた木が密集していて傾斜がきつくなり始めた。 
傾斜の始まりと思われるところに沿って登りやすそうな場所を探してみると、 
少しはマシな感じの獣道のようなところがあったので、そこから登っていった。 
夜の山道で雰囲気はあるんだけど、霊っぽい現象にまったく出会えず、 
野生の獣とかが飛び出してきたらそのほうが怖いなw 
などと話しながらさらに山を登っていった。



560 : 祠4[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 00:12:17.69 ID:5GINjljK0 [4/11回(PC)]
そろそろかなと思いGPSで確認してみると、おおよそ場所はあっているようだった。 
懐中電灯で照らして周辺を歩いて探してみたけど、建物らしきものは見つからない。 
GPSや地図を見ながら何度も確認したけど、場所は間違ってなさそうだった。 
まあ、正確な位置がわかるわけでもないから見落としとかあったかもしれないけど。 
結構なところまで行かないと見つけられなそうだったため、 
夜だと危ないという結論が出て、日が出てるときにもう一回探しに来てみようということになった。 
それで帰ろうということになったんだけど、Aが何か声が聞こえたと言い出した。 
俺もBも何も聞こえなかったんだけど、Aはまだ聞こえると言って、 
誘われるようにどんどん獣道を登っていった。 
俺とBは急いで追いかけたんだけど、Aはかなりの速度で登っていて、すぐに見失ってしまった。 
そのまま続いている獣道を登って行ったんだけど、すぐに道のようなものはなくなっていた。 
どうしようかと思っていると、Aの叫び声が聞こえた。 
どこから聞こえてるのか分からずあたりを見回していると、 
山の下、つまりついさっき登ってきたところから、血相を変えたAが現れた。 
Aを見失ってから数秒しか立たず、道もすぐに行き止まりになっていた。 
Aが途中で獣道から逸れて後ろに回ったのかもしれないが、何か変だった。 
事情を聞こうかと思ったけど、Aはここはヤバい、とにかく離れたい 
の一点張りでまったく話にならなかった。 
仕方ないので戻ろうと、Bと獣道を戻ろうとしたんだけど、 
Aがそっちは祠があるから嫌だと言って動かない。 
Aを追って獣道を登って行ったときに、祠なんて見なかったから 
そんなものなかった。何があった。と聞いたんだけど、 
Aは無言で、とにかく祠は避けて戻りたいとだけ言った。 
そうは言っても暗い中森を歩くわけにもいかないし、 
安全に歩けそうなところは獣道しかなかったので、 
Bと二人でなんとかAを説得し、獣道を降りて行った。 
一応周りを警戒しながら建物があるか確認しながら降りたんだけど、 
やっぱり、まったくそのようなものは見当たらなかった。



561 : 祠5[sage] 投稿日:2011/08/15(月) 00:13:19.80 ID:5GINjljK0 [5/11回(PC)]
車に戻ると大急ぎでエンジンをかけて帰路に着いた。 
トンネルを抜けるとき、複数の人間のうめき声が聞こえ、 
バックミラーに人の顔が映ったのが見えたのだが、 
顔色を真っ青にして無言で運転しているAを見たら話す気がなくなってしまった。 
地元に着くいてAの様子が落ち着いてきたようだったので、 
山で何があったのか聞いてみると、ポツリポツリと話始めた。 

何かの声が聞こえたとき、なぜだか呼ばれているような気がして、 
そう感じてすぐ、無意識に声に向かって走っていたらしい。 
気づいたら、航空写真で見た小さな神社の前に立っていて、 
そのすぐ近くに祠が建っていたそうだ。 
木に隠れてしまっているだけかもしれないが、祠は航空写真にも写ってなかった。 
声はまだ響いていて、よく聞くと赤ん坊の泣く声と、それに混じって女性の声が聞こえたらしい。 
なんとなく祠に目を向けると、這い上がろうとしているように見える手が 
地面から何本も伸びているのが見えたらしい。 
祠の脇に足が見えたので、そっちに目を向けると、 
そこには派手ながらもボロボロで汚れた着物を羽織った女性が立っていて、 
かろうじて人の形をしている腐った赤ん坊をかかえていたらしい。 
赤ん坊をかかえている手はガリガリの傷だらけで、 
髪はボサボサ、顔もこけていて傷が多く、 
目は虚ろながらもAのほうを見ているように感じたらしい。 
頭の中で響いていた泣き声に混じった女性の声の一部がはっきりと聞こえてきて、 
ウラム・ノロウ 
といったことを繰り返し連呼していたらしい。 
それで、ここにいたらヤバいという感情と、恐怖心から悲鳴を上げて走って逃げたそうだ。