小学校6年生のときのことだからもう10年以上前の話になります。
私の小学校は鉄筋でしたが内装はすべて新木造といわれるもので、
やわらかい感じが児童の心身にとてもよい効果があるという話でした。
実際にこれを採用した中学校では生徒が荒れることも少なくなり、
小学校でも校内で転んでの大怪我が減ったそうです。
築後10年くらいだったと思います。ただ木の塗装した表面が柔らかかったので、
爪でひっかくとわずかな力で彫れてしまうため、いたずら書きは厳禁されていました。
それでも落書きをするワルガキは後を絶ちませんでした。
クラス替えして6年生になったばかりの4月のことです。私は環境委員になり、
放課後の活動として落書きを見つけたら紙やすりで消すという仕事をしていました。
これをやるとあちこち白くなりますが、そこには後でラッカーのスプレーをかけるのです。
また、ひどい悪口などを見つけたら先生に報告するのも仕事の一つでした。
この校舎は3階建てで、3階が5・6年生、1階が1・2年生と支援学級でした。
私とAさんBさんが6年生の委員で3人でけっこうはりきって消してまわりました。
細かいキズは無数についていて、それを全部消してしまうとあとの処理が大変なので
大きなものだけみんなで紙やすりでこすりました。
個人名が書かれた部分を見つけたらそこに赤いビニルテープを貼って、
後で担当の先生に見せます。あまりひどいのは彫ったのが在校生とわかれば
書いた子が怒られることもありました。
小学生の女子はけっこうこだわりが強いので隅々まで探しましたが、
活動は1時間くらいで終わりました。先生に報告に行こうとしたら、
Bさんが「まだ、屋上へ行く階段を見ていない」と言い出しました。
屋上は立入禁止になっていてドアにはいつも鍵がかかっているはずですし、
その階段で遊ぶのは禁止されていたのできっと落書きなどないと思ったのですが、
まだ帰りたくなかったのでいってみることにしました。
その階段は一般の階段より幅が狭く、防火シャッターが降りて封鎖できるようになっています。
踊り場もなく10段くらいで、突き当りに屋上へ出る上半分がすりガラスになった一枚ドアがあります。
階段は木製なのですが、予想どおり調べてもほとんど落書きも大きなひっかきキズもありません。
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