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その後俺は中学を卒業し、高校、大学を出て、地元から離れて県庁所在地の有る市で就職した。 
社会人になって十数年たった頃遊びで未成年の女の子を孕ませてしまった。 

俺にも相手にも産む気はなかったので、俺たちは相手の親にばれる前に堕胎しようということになった。 
しかし、近場の産婦人科だと知り合いに見られるかもしれない、そこで俺の頭に浮かんだのは青山の実家の産婦人科だった。 
幸い俺の実家も地元から引っ越しているし、
今でも友達づきあいしてる奴はそこに残っていない、それにあそこは青山が跡をついで医院長をやっているはずだ。 

俺は古いアドレス帳を調べて青山に連絡を付けてから、
その次の休日に相手の女の子を連れて青山の実家の産婦人科へ向かった。 
しかしなんとなく年下の女の子を連れて産婦人科の扉をくぐるのを他人に見られたく無かった俺は、
近くまで来た所で、青山に電話をして居住部分から、中に入れてもらうことにした。 

青山の家に着いた、中学の頃来た時には感じなかったが酷く陰気な雰囲気を醸し出していた。
これから自分の子供を殺すというおれ自身の気持ちがそう感じさせたのかも知れないが。 

青山に招き入れられ家に入ると、玄関から廊下に無数のこけしが見えた。 
俺が、「このこけし・・・」と思わずつぶやくと、青山は「ああ!繁盛してるお陰でこんなに増えちゃったよ。どこの部屋にも入りきらずにこの有様さ、そろそろ部屋を増築しないとなー。」 
連れの女の子は夥しい数のこけしと、青山に怯えていたが何とか宥めてそのまま処置してもらった。 
ちなみに、青山の病院で処置してもらったあと、この女の子とは会ってない。 

更に数年後、中学の同窓会が地元で開かれることになった
俺は行く気がなかったが口の軽い青山がもしかしたら子供を堕胎したことをぺらぺら喋るかもしれないと思い 
口止めする意味で参加することにした。