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夏のある日の夜、俺は部活の友達、後輩5人とつるんで花火をしていたんだ。(全員男)
花火もなくなってやることもなく、どうしようかって話あっていたら、
一人が近くの心霊スポットに行こうって言いだしたんだ。

その心霊スポットってのが地元では結構有名な森の中にある公園でさ、怖い話をするときには必ずと言っていいほどその名前がでで来るような場所。

公園にある展望台からの飛び降りが後を絶たないとか、動物の霊がたくさんいるだとか
そんな噂がいっぱいあった。

後輩の中にはびびって「やめましょうよー」とかいうやつもいたけど周りに「怖いのか?ww」とか冷やかされて結局みんなで行くことになった。

俺は以前にほかの友達とその公園に行ったことがあったが、その時は出ると噂の公衆トイレから変な声が聞こえただけで、特に怖いことは何もなっかった。

俺を含む6人、自転車に乗って例の公園に向かった。

山の中ということもあって坂道がつらかったのをよく覚えてる。

それで公園に到着。
自動販売機の光以外は街灯の一つもなくてすごく暗い場所だった。

公園についてからは6人で写真や動画を撮りまくって、心霊写真を撮ろうと頑張った。
心霊スポットなのにお互いを脅かしあったりして楽しかったなぁ

そうしているうちに噂の飛び降りが絶えない展望台を発見。
展望台には殺人現場なんかで見るKEEPOUTって書かれた黄色いテープがたくさん張られてて登れないようになっていた。
そこだけちょっと雰囲気が違っているように感じた。

しばらく探索をしたが結局何も起こらず帰ろうと、帰りの坂道を自転車で下ったんだ。

坂道を降りきってみんな異変に気付いた。
6人中6人の自転車のタイヤがパンクしてた。
それも前輪後輪どっちもだ。

画鋲でもばらまかれてたんじゃないかって話になったけど、行きのとき同じ道を通ったけど
その時はパンクなんてしてなかった。

みんなでちくしょうちくしょう言いながら自転車押して各自帰宅したんだけど、
全員の自転車がパンクしたっていう話のネタが収穫できたってことでみんなテンションが高いまま帰って行った。

そのあとはみんなで撮った写真や動画をラインで見せ合ったんだけど、変わったものは何も映ってなかった。

そんな怖くなっかたなってラインで話してその日はみんな寝た。

事件が起こったのは次の日だった。

次の日は普通に学校があったので普通に登校した。
そしたら昨日心霊スポットに行った友達の一人が体調不良で休んでいた。

残った俺たちはというと学校で昨日の出来事を自慢げに言いふらして、
休んだ奴に関しては「憑りつかれたんじゃね??ww」といった感じでネタにしてた。

そして普通に帰宅すると休んだ奴(以下Aとする)から大量に着信が来てた。
Aは慌てた様子で現状を教えてくれた。

結果から言うとマジで憑りつかれたらしく、ベッドに入ってからというもの、
頭の中で犬の鳴き声がずっと響いているということだった。

正直なところ半信半疑だった。
Aは高校生らしく人並みに嘘もつくやつだったので厨二的なもんだと思った。

それでもどうしても来てほしいとのことだったので、都合のついた友達(昨日いた後輩の一人、以下B)
を連れてAの家に行ったんだ。

Aの家に着くとAの母親が出迎えてくれた。
俺たちがAのお見舞いに来てくれたと思っていたらしい。

Aの部屋に入るとAは青ざめた顔で「やべーよ、やべーよ・・・」と言っていた。
Bは「A先輩、ひどい有様っすねww」とか言ってたけどAは本当にやばそうな感じだった。

詳しく話を聞くと頭の中で犬の鳴き声が何重にも重なって聞こえ続けるらしい。
塩まいたり、酒飲んだりいろいろやってみたが効果はなかったそうだ。

これは本当に憑りつかれてるなと思って近所の神社に相談しに行くことになった。
Aの母には「具合悪いのに出かけるのかい?」って小言言われたけど気にせず神社に行った。

この神社は小さい神社で、毎年初詣だけお世話になっているようなところだ。

神社について「すみませーん」って叫んだらどこからか神主さんが出てきた。
若い神主さんで「はいはいー。どうされましたかー?」って感じだった。
第一印象から頼りないなあ・・と思ったのを覚えてる。

なんだか憑りつかれたとか本当に言うのは少し恥ずかしかったけど、今まであったことを正直に話した。

ネットの体験談みたいに「なにやってんだー!!」って怒られるとおもったが、
「そうだったんですねー、そういう所に面白半分で行くもんじゃないですよー」
と、ゆるーいかんじで言われた。

それで「とにかくお祓いしてみますかー」と言われて狭い本堂に連れてかれた。

こいつ絶対話を信じてくれてないと思った。

そしてお祓いが始まった。

俺と後輩は後ろのほうで座布団に座ってお祓いを見てた。

神主がお経を唱えて、時々木の棒でAの肩を叩いたりしてた。
Bが小声で「THA・OHARAIって感じっすね!」とか言ってた。

お祓いは程なくして終わった。
Aにどうだったか聞いてみると
「だいぶ良くなったが、まだ鳴き声が聞こえる」と言っていた。

神主「どうやら犬の霊が5匹ほど憑りついていたようです。
そのうち3匹が私に移ってきたようです・・・
鳴き声がすごい聞こえますね。」

要約するとAに憑りついていた5匹の犬のうち3匹が神主に憑りついたらしい。

うまく言葉が出なかったが、見た目通りの神主だと思った。

Aの容体は少し良くなったが完全には祓えず、神主まで憑りつかれる結果となってしまった。

神主の力では祓いきれないとのことだった。
そのあとは神主の提案でペット霊園で供養してもらおうということになった。

神主の車でペット霊園に向かった。
犬に憑りつかれている人の運転は不安だったが、事故はなかった。

車の中では神主が修業はしたが、神主としての才能にあまり恵まれていないことや、
お祓いや供養の費用は心配しなくてもいいことなど話してもらった。

ペット霊園につくとニコニコした感じのいいおばあさんが出てきて、
「あらあら、連れてきちゃったのねー」と言ってきた。

この瞬間、もう大丈夫なんだなと他人事ながら安心できたのを覚えてる

そのあとは解決するまですぐだった。
敷地内にある祠みたいなところに連れていかれて
「ここにいれば大丈夫だから出て行ってくださいって心から願ってごらん」
とおばあさんが言うとAと神主は祠に向かって手を合わせて目をつぶっていた。

1分くらいすると2人は目を開けてスッキリした顔をしていた。
うまくいったようだった。
それからおばあさんにお礼を言って神主の車で家まで送ってもらった。

その後Aは元気に生活している。

おわり

俺はずっと横から見てただけだったがすごい体験をしたなーと思ってる。