一年に何度か、地の山の草刈りを近所皆でおこなうのだという。
親戚のお婆さんと一緒に鎌を振るっていると。
いきなり、お婆さんの目の前に蛇が鎌首をもたげた。蝮だ。
緊張する彼を尻目に、お婆さんはすぐさまチョン!と蛇の首を刎ねてしまった。
のたうつ細長い体をつかんで投げ棄てながら、目を丸くしている彼に向かって
お婆さんが言った。
「昔ね、躊躇って中途半端に蛇を傷つけた人がいるのサ。
そうしたらね、その人の子供の首に、日に日にぱっくりと傷が開いてきた。
どんな薬でも治らずに、ふとその蛇のことを思い出して供養してみたところ、
あっと言う間に治ったんだと。
だからね、変に恨みとか持たれないよう、スパッと行っちゃう方が良いのサ。
蛇には何とも可哀想なことだけどね」
お婆さんが続けて言うには、蛇が祟るのは総じて気が弱い人間なのだそうだ。
「あいつら本当は弱いからね」
どうか僕の前には蛇が出ませんように。そう祈りながら草刈りを続けたという。
コメント
コメント一覧 (1)
「蛇の生殺し」「手負いの獣は凶暴」と言い伝えられてますからね。
コメントする