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休日に友人と約束があったため、朝7時に起きて1階の洗面所で出掛ける支度をしていた。
その日父は社員旅行でおらず、母と兄が2階の自室で寝ていた。

ウチの家族はそろって朝が苦手なため、休日は9時過ぎないと誰も起きてこない。
そういう私もギリギリまで寝ていたため、急いで準備をしていると
階段をダダダダッと勢いよく降り、洗面所の隣のトイレへ駆け込む音がした。

兄がトイレに行ったのだろうと思い、準備を続けていたが、なかなか出てくる気配が無い。

私もトイレに行きたかったので、早く出るよう言おうと思いトイレへ行くと誰もいない。
トイレの扉は引戸になっており、あまり建付けが良くなかったので
開閉時はガラガラとかなり大きな音がするため、兄がトイレから出たのを気付かないはずがない。
また、階段を上る音もしなかったので(足音を忍ばせても、1段きしむところがあるためバレる)
念のため1階の他の部屋(リビング等)も見たが、やっぱり誰もいなかった。

あれ。おかしいな。何だか気味が悪いな。とは思ったが、生理現象には勝てず恐る恐るトイレへ入った。
時間もないし早く済まそうと思い用を足していると、扉をかなりの強さでバンッと叩かれた。
扉のすりガラスがビリビリと鳴り、しばらくわんわんと残響がするくらい。
ビックリしてしばらくフリーズしていたが、我に帰り急いでトイレを出た。
やっぱり誰もいなかった。

約束の時間が迫っていたし、これ以上家にいるのも怖かったのですぐ出掛けたが
帰ってきて母と兄に聞いてみると、朝トイレには行っていないと言う。
兄のいたずらかとも考えたが、家族の中で一番寝起きの悪い彼が
早起きしてまでやるとも思えないし、結局原因は分からずじまいだった。

これ以前も、これ以降も特に変わったことはなく(零感)
たった一度の怖かった話。