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庄屋様の使用人が、山の向こうの代官所まで馬に年貢米を積んで届けに行った。
その帰り道、峠を越えていると道脇に老人がしゃがみ込んでいる。

「爺さま、腹でも痛いのか?」
老人は答えない・・・

もうすぐ日が暮れる。
夜になれば山賊の類いも出るだろうと、使用人は老人を空荷となった馬の背に乗せ帰り道を急いだ。
庄屋様の屋敷の門をくぐり、馬を見ると爺さまがいない。
「いつ降りたのか?」
使用人は不思議に思った。

それからすぐに庄屋様の家は廃れた。
荒れた屋敷の片付けをしながら使用人は思ったという。
「あのとき、オラが馬に乗せたのは貧乏神だったんじゃろうか・・・」


地元紙に掲載されていた昔話です。
昔話といえば教訓めいているものばかりかと思いきや・・・
「語り継ごう!郷土の民話」と元気良く書かれても・・・・この救いの無い話を?