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日本の物理学者、小柴昌俊氏はカミオカンデという装置を使いニュートリノの検出に成功した。
ニュートリノは陽子が崩壊する際に放出される粒子の一つである。
この偉業に世界は大きく賑わった。

それから三年後、今度はオハイオ州にある鉄鉱山に作られた実験施設でも観測。再び世界は沸き立つ。
ところがそれから半年後、今度はインドの金鉱に作られた実験施設で再び観測。
さらに三ヶ月後には南フランスのフレジュで、その一ヶ月後にはアメリカのユタ州で次々に観測されるようになった。

この現象を受け、初めのうちは大喜びだった物理学者たちから喜びの色は消え、次第に恐怖が広がった。
今までどんなことをしても観測されなかった陽子崩壊現象が、カミオカンデの観測以降、加速度的に増加し始めたのである。
物理学者は緊急の国際会議を開く。そこで日本のある教授がこういうことを言った。
「最初の観測以来始まった陽子崩壊は加速度的に進んできている。これまでの理論では考えられない何かが起こり始めた。
あるいは、空間の性質が変わったことが考えられる。原因は不明だが、宇宙の法則が変わった。あるいは崩壊過程に入った可能性もある。ともかくこのまま進むと、数世紀後に我々の世界は存在しないことになる。」

この発表は世界を震撼させた。
こうしている間にも、世界は崩壊し続けているのかもしれない。 


実際には、地下1000メートルに作られた実験施設でニュートリノが水中の電子に衝突した際放出する
チェレンコフ光と呼ばれる現象を観測する装置だ。