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昔、梅雨開けて直ぐの頃、ドライブをしていた俺は、山中で眠気に襲われた。車が停めれる場所を見つけたので、窓を開け、暫く仮眠を取った。

首筋を生暖かいモノが流れる感覚に目が覚めた。直ぐにその場を離れたいと思うが、身体が動かない。その時、山の暗闇から、若い女性が、
「悲しいたけ〜。乗せて干ししいたけ〜」
と暗く小さいけど響くような声で、寒いギャグを言いながら近づいてくるのが見えた。俺が全力で叫び声を出すと、身体が動き、車のエンジンがかかった。

麓まで全速力で下り、コンビニに飛び込むと、今度は俺がコンビニの店員に悲鳴をあげられた。首筋を山ヒルに噛まれ、白シャツが真っ赤になっていたのだ。

後で調べると俺が仮眠を取った場所は、何年も前に失恋を苦とする遺書を残し、若い女性が自殺していた場所だという。