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祖母から昔聞いた話。
うちの田舎には御白(オシラ)さまという風習があった。

江戸から明治期にあった信仰の風習で、
山の中腹あたりに8畳ばかりの御堂があって
そこに一人、10歳から15歳までの女の子を
そこで御子として崇めていたとか。

だいたい選ばれるのは貧しい家の子だったが、
15歳まで勤め上げて山から下ると、
元御子ということで普通では持ち上がらない縁談がきて
一気にその家は金持ちの仲間入りができたそうだ。

だがそれも明治の終わりには廃れることになった。

地元の新聞にも取り上げられ、時代遅れの悪しき風習と叩かれたそうだ。
それ以降、うちの村から御白様はなくなった。

その後の二人は行方知れずだったが第二次世界大戦中、
二人があるところから発見されることになった。
この話はこのとき祖母が母親から聞いたものだ。

もう完全に廃れて廃墟になった御堂になにか金目のものはないかと
村人が物色したときのこと。
御堂のうしろに不自然なこんもりとした塚がみえた。

よせばいいのにそこを掘り返してしまった。

すると地面の中からすぐに未成年とおぼしき二つの頭蓋骨が出てきた。
一気にその話は村中に知れ渡ることとなり、
村の住職をよんで再度、その地に埋葬されることになったという話。

その話を聞いた後、その近くの山ってどこ? と尋ねたのだが、
祖母も同じことを母親から聞いて「言ったらお前は行くから言わん」と一蹴されたので
どの山かは祖母も知らずに亡くなった。