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俺の通ってた中学は鉄筋コンクリだけどすごく古くて、教室の床は木でミシミシ言うし、校舎は黒くなりかけていた。

第二校舎の裏は崖下で、昔、戦死した息子を苦に親がその崖から飛び降り自殺したという噂があった。

第二校舎のトイレは崖側であり、女性トイレの鏡は全ての階で取り払われており、新たに付けられることはなかった。第一校舎は全て鏡があった。

というのも、第二校舎の女性トイレ鏡に初老の女性が写ったとして女生徒からの苦情が相次いだためだった。

最初は先生たちも年頃の子供のからかい、イタズラだと相手にしてなかったが、PTA役員のおばさんが見てしまい、泣きながら職員室に駆け込んできたきた為、校長や教頭、先生たちがトイレに出向き鏡を取り外す事にしたそうだ。

第二校舎にある音楽室の先生が離任間際にそう教えてくれた。その音楽の先生も第二校舎のトイレだけは鏡が取り払われても使用しないと言っていた。

当時、3階の女性トイレを外から覗いたことがあるが、鏡が取り払われた跡には黒っぽく上半身の人型のようなシミがあった。

結局、俺が卒業したその年に校舎は立て替えになり潰されてしまった。

卒業してから20年も30年も経つが、なぜかあの校舎が夢に出て来る事がある
しかもトイレ側の方。