私の母方の祖父は住職でした。
田舎の山にある小さな寺で、母は生まれ育ちました。母は3人姉妹の長女。結婚後もみんな寺から近い所に住み、よくお互いの家に集まっていました。
長女(母)子ども→私、弟
次女(おば)子ども→女の子3人
三女(おば)子ども→女の子2人
みんな歳も近くて仲良し。弟だけ歳が離れていて、私が9歳の時に生まれました。
祖父は念願の男の子だと大変喜び、孫の中でも特に可愛がり、寺の跡取りにすると冗談をよく言っていました。
夏休みは寺でみんなでお泊まり会をするのが恒例で、蝉の声を聞きながら沢で水遊びをしたり縁側で素麺を食べたり、少し歩いた所にあるよろずやでアイスを買ったり、自然の中で仲良しないとこ達と過ごす時間が大好きでした。歳の近い女の子が6人も集まれば、何をしたって楽しいんですよね。そこにヨチヨチついて来る弟も可愛かったです。
私が小学5年生くらいから祖父が病に伏せ、6年生の夏休みに亡くなりました。住職が亡くなった時は、普通の葬儀とは違うんだそうです。他の寺から僧侶が何人も来て、歩きながら何か唱えたり…戒名も普通の人とは違うんだよと母が言っていましたが、あまり興味も無かったし人生で初めて参列する葬儀だったので特に違和感も無く、長過ぎる葬儀を抜けていとこ達とDSで遊んでました。
大人達が葬儀や相続でバタバタしている間に夏休みも終わり、2学期が始まってすぐの事。
母方の祖母が亡くなりました。
祖母は私が産まれる前に倒れ、そこから麻痺が残り次女のおばの家で介護されていました。会話はできませんでしたが、会いに行くと微笑んでくれる優しい人でした。
母とおばは立て続けに両親を亡くし、悲しみに暮れていました。
少しして、母と2人で寺に掃除をしに行くと、母が何かにハッと気付き、「後ろ向いてて」と。後から聞くと、寺に住み着いていた数匹の猫が本堂の縁下で死んでいたそうで、私に見せないようにしてくれたそうです。
同じ時期に、三女のおばの家で飼っていた犬もまだ若かったのに死んでしまいました。
母は「おばあさんも、猫も犬もみんな、おじいさんについて行ったんだね」としんみり言っていました。
子供ながらに、その言葉に不気味さを感じました。「ついて行った」と言うか「連れて行かれた」気がしたからです。
なぜなら、葬儀が終わってから弟の様子が変なのです。
3歳になり言葉を覚えだして、楽しそうにヘラヘラお喋りする子だったのに、話しかけても無反応な事が多くなり、かと思えばトイレの中で1人でお喋りをしたり。
またある時は、夜中に目が覚めると隣で眠るはずの弟が見当たらず、父を起こして一緒に探すと、靴を履いて庭にいるのを発見。
「〇くん、どうしたの」と聞くと、「おてら行くの」と言って笑うのです。
その時の弟はまだ靴を上手く履けないし、玄関も開けられるはずないのに。
父は寝ぼけただけ、ドアがたまたま開いてただけと言い、気にせず。
そんな訳無いと思いつつも、祖父の事が大好きだった母にも、現実主義な父にも言えず、でも直感で「弟も連れて行かれる」と思い。
5人のいとこを引き連れて、バスに乗り、隣の市に住む父方の祖父母に相談しに行きました。
父方の祖父母は、優しい普通の老人です。
説明を終えると、2人の反応は「あの人のやりそうな事だなぁ」というものでした。
それから祖父母も一緒に帰宅し、大人達で色々話し合ったようです。
結局、私たちは他県へ引っ越しました。いとこ達も引っ越したそうですが、どこかは教えてもらえませんでした。地元には行かない事と、いとこ達とも会おうとしない事を念押しされました。
寂しさもありましたが、私は中学に、弟は幼稚園に上がるタイミングだったので転校も無く、地元より栄えている街を呑気に楽しみ、中学で新しい友人もできて平和に過ごせました。
私ももうアラサーになり、弟も先日成人しました。両親が「もう大丈夫だろう」と言うので、来月みんなで地元に帰る予定です。おばといとこ達とも十数年振りに会えます。
楽しみですが、不安もあります。
本当に大丈夫なのかな。

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